第26話 ミートパンあんパンジャムパン

「随分小さいパンですね」

 パン1個ずつを丸めていると、厨房主任が不思議そうに言って来ました。

「焼き上がり見ると驚きますよ」

 あんパンは丸く仕上げ、ジャムパンは楕円に仕上げる。

 これは誰でも出来る物じゃない、あんやジャムが片寄らず、パン焼きの時破裂しない適量のあんやジャムを、中心に入れて丸める。

 たったこれだけの事なのに、アソウギ君と何度も失敗して覚えたことでした。


 先に焼いて貰っていたパンが仕上がりました。

「このパンはミートパンにします、ミンチ肉を焼いて下さい」

 僕とアソウギ君は丸パンを上下に切り分けて、焼き肉を挟めるよう準備します。

 あんパン、ジャムパンも焼き始めました。


 お肉を焼き終わり、お皿に積み上げて有ります。

 肉汁が出たフライパンにトマト煮を移し、煮詰めて貰います。

 煮詰まったソースにお肉を絡めたら、パンに挟みます、お肉の上にみじん切り玉ねぎを一摘まみのっけました。

 トマトソースの酸味と旨味に、生の玉ねぎの辛味と旨味シャキシャキ歯触りが相まって、ちょっとしたミートパン旨味の秘訣なのです。


 あんパン、ジャムパンも焼き上がりました。

 厨房の5人に試食してもらい、絶賛されました。

「あの一握りのパンが焼き上がると、両手で持つほど膨らむとは!!このふわふわの触感がたまらんです!旨い!!」

「ミートパン、物凄く旨いです!!流星王様の好みの味です!」

「このあんパンとジャムパン、宮廷の女官達が喜びますよ!!」


「流星王様にパンの革命が起こると言われて、信じられん思いでしたが、これは正真正銘パンの革命です!!」



「ナユタ様アソウギ様!流星王様がイライラお待ちでしょう、先に完成の報告をされては?パンは我々と女給が運びます!」


 控えていた執事の案内で、流星王の部屋に帰りました。

 案内無くても行けるが、僕達は明星王代理の一応高貴な存在、面倒ですね。



「流星王様!完成しました!直ぐ食べられますか?」

「待ちかねた!直ぐに食すぞ!!」


 流星王様は勢いよくミートパンにかぶり付きました。

「これは美味じゃ!明星王に自慢されてきた、これが調理パンか!!このジャムパンも美味しいが、もっと美味しいアンパンの中身は何じゃ?」

「赤豆を水飴と煮た物です」


「アンとは豆のジャムだったのか…ミドリ豆とか色々工夫すれば、もっと変わったパンが出来るのう…王都新町にパンの店を用意しておる、いつでも開店して王都からパンの革命を始めてくれぬか?」

「「はい!喜んでお受けします」」

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