第25話 王宮でパンを作る

「ここが王宮の厨房だ、パン生地は既に出来ておる、後の加工は自由に行ってくれ、厨房主任!このお二人の言葉は余の言葉と受け取れ!決して粗雑に接するな!お二人の不興を買う事が有れば全員の首を跳ばすぞ!」

 流星王自ら王宮の厨房に案内してくれ、何やら恐ろしい事を言ってる。

「流星王ありがとうございます」

 僕のお礼に頷き、流星王が立ち去ると、厨房の全員が安堵の表情になっていました。


 柔和な明星王と違い、気性のあらさが顔に出てた流星王は、見た感じのままの王でした。


 僕達の為に余計な手間を掛け、申し訳無い気持ちで謝罪して置きました。

「厨房の皆さん、お邪魔して申し訳有りません」

「私達は流星国に無かった新しいパンを作りに来ました」


「いえ邪魔なんて思って居ません、流星王様のお客人、それも凄い新技術を取得された凄いお方と通達されて居ります!命じて頂ければ何でもお手伝い致します!」

 流星王が厳しく脅すから、厨房の皆さん僕達に腫れ物を扱うような態度でした。


「このパン生地全て使って良いのですか?」

「はい!ナユタ様とアソウギ様に使って頂く為に準備致しました!」


 物凄い量のパン生地だけど、膨らまないパンならこれ位は必要なのだろう。

 パン生地を二等分し、アソウギ君と手分けして予め準備してた、干し葡萄酵母を練り込みます。


「これで夕食まで置いて置きます」

「夕食前、パン焼きするまで触らないで下さい!」


「アソウギ君、ミンチ焼き肉とかジャムも作っておく?」

「そうね、厨房主任さんに聞いて、使って良い食材を聞いてみましょ!」

 僕達の作業を見詰めていた、厨房主任さんが。

「厨房にある物は、何でもご自由に使って下さって結構で御座います!」


(主任丁寧過ぎて遣り難いよ!)


 流石王宮の厨房!ラズベリーや赤豆が有り、砂糖も使い放題です。

 ラズベリージャムに赤豆の砂糖煮込みを作り、冷ませて置きます。


 ミートパンのソース、トマトと玉ねぎを煮込み塩コショウで味を調え置いて置きます。

 肉を焼いて、肉汁の出たフライパンに煮込んだソースを混ぜて出来上がりになります。


 ミンチ肉も厨房の皆さんの応援で大量に出来ました。

 後はパン生地の二次発酵を待つだけです。

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