第16話 国王様は優しい人でした

 中の門、城壁に取り囲まれた町は、都心部って言うそうです。


 王都も賑やかで、いっぱい商店が建ち並んでいましたが、中の門都心部は凄く華やかで、道路も広くユッタリした感じです。


「ナユタ君、都心部なら安心して見学出来ると思うよ」



 馬車は真っ直ぐ進み、王宮の門を潜りました。

 広い並木道で、正面にお城が見えます。


 真っ直ぐ進むと思っていたら馬車は道を曲がって、止まった所は原っぱでした。


「ナユタ君、天気が良いので庭園で休憩して居て、私は王様に事情を説明して来ます」


 案内されたのは、お城の庭と言われても池があって森がある広い草っ原に、ぽつんと置いてあるテーブル席でした。


 シーシャさんは、馬車に乗って行ってしまいました。

 この位置からでは並木が邪魔をして、お城は見えません。



 しばらく池や森を、ぼんやり眺めていると5人のメイドさんがワゴン車を押してやって来て、サッと飲み物と軽食をテーブルに並べてくれました。

 ドタバタ慌ただしく移動して、今はお昼ご飯の時間のようです。


 あんまりお腹空いて無いけど、皆で頂きました。


 かなり時間が経って、やっとシーシャさんが帰って来ました。

「お待たせしました、国王様の謁見の準備が整いました!参りましょう!!」


 僕達は、並木道を歩いてお城に向かいました。




 シーシャさんが案内してくれて、僕達は王宮謁見の間に通されました。

 国王様は、僕達が入室すると王座から立ち上がり、こちらに降りて来ました。

 お父さんとお母さんが、土下座平伏したので僕とアソウギ君も見習って平伏しました。


 国王様がニコニコ笑って「平伏は必要無い!立ってお辞儀するだけで良いぞ!」


 と言うので、立ち上がってお辞儀しました。

 国王様はニコニコ笑って

「ナユタ君、アソウギ君よく来てくれた!お父さん、お母さんも歓迎します!!」


 王様は、凄く優しい人でした。

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