第14話 大変です

 アソウギ君と大きなお風呂に入りました。

 湯舟に浸かり、また洗いっこしようとした時。

「あれっ?」

「サラメイド長に命じられました、ニスケです」

「サンスケです、お背中流しに参りました」


 綺麗なお姉さんが二人、裸で入って来ました。


 折角洗ってくれるって、断る事も無いかと洗ってもらいました。

 洗髪から足の指先、尻尾まで丁寧に洗ってくれます。

 チョット尻尾を洗うの丁寧過ぎ、しかも洗うの長い。


 しつこく尻尾を洗われて、僕もアソウギ君もチョット大きくなってきました。

 アソウギ君を洗ってるニスケさん、僕を洗ってるサンスケさん、二人のお姉さんは驚いた表情をして居ました。


「アソウギ君、お腹減った!出よう」

「うん、私もお腹すいた」


 お姉さん二人は僕達の体を拭いて、着替えの手伝いまでしてくれました。

「「お姉さん、ありがとう!」」

 お礼の言葉に、ニスケさんとサンスケさんはニッコリ笑って

「「どういたしまして」」と頭を下げていました。


 お風呂を出ると、サラさんが待っていました。

「お食事の用意が整って居ります、食堂にご案内致します」

 一礼して、先を歩き案内してくれます。


「案内してもらわないと迷いそうだね」

「うん、そうだね」


 食堂ではお父さんとお母さんが待っていました。

 僕とアソウギ君が席に着くと、大勢の仲居さんが料理を運んでくれました。


 テーブルの中央には、大きな鳥が丸ごと置かれ湯気を立てています。

 王都では、パンも食べるそうですが、お米の方がよく食べられて居るそう、目の前にはお茶碗にお米を炊いた物が盛られ、それと汁椀のお吸い物しか置かれていません。

(あそこの置かれた、美味しそうな料理は眺めるだけ?)


 と思ってたら専用給事さんが僕達に一人ずつ着いて、料理を取って来てくれました。

「鳥を1羽丸蒸した物で御座います、お塩を少し付けてお召し上がり下さい」


(うわぁ!大変です、ここでも食べ方お節介始まったよ)


「…美味しい」


「細魚に、魚醤と水飴を付けて焼いた、細魚の照り焼きで御座います、粉山椒を少量振ってお召し上がり下さい」


「……はい」


「小芋と根菜、鶏肉の煮物で御座います、鶏肉は骨付き、ご注意下さい」


「………はい」


「鳥を蒸したの、もっと食べたい!」

「煮魚と天ぷらお召し上がりになり、まだ食べられるようでしたら、お取り致します」


「はい」


 ご飯と吸い物でお腹が脹れ、結局蒸した鳥は食べられませんでした。

 物凄く料理残って、勿体無い思いしか残りません、鳥さんもう少し食べたかった。


 どれもとっても美味しかったけど、食べた気がしませんでした。

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