第5話 お父さんのパンが食べたい

 大地のおしっこって凄い迫力でした。

 こんな、見た事の無い凄い物が、他にもいっぱい有るんだろうな、大人になったら世界中旅をして見て回りたいな。


「ナユタ君、ここが宿だよユックリ休んでくれたまえ明日朝迎えに来るので、これで俺っちは帰るよ」

「町長さん、大地のおしっこ凄かった、ありがとう」


 ベン町長はニッコリ笑い、手を振って帰って行きました。




 宿の女将は、凄く太った人です。

「ナユタ君、お父さんお母さん、ようこそいらっしゃいました!!」

「「お世話になります」」

「夕食の用意は出来て居りますが、先にお風呂に入られますか?」


「ナユタ、晩飯か風呂か、どっちにする?」

「ご飯を先に食べたい」


 僕が言う通りにしてくれました。



 宿でも蕎麦が出ました。


 ウルサイ町長さんが居ないので、つゆにざっぷり蕎麦を漬けて、手繰らずに食べました。

「あっ!美味しい!」

 お父さんもお母さんも、ざっぷり漬けて美味しそうに、食べていました。


 天ぷらにもつゆをタップリ漬けて食べました。


 後から出てくる、蕎麦湯にもチョッピリじゃ無く、確りつゆを入れ飲みました。

「蕎麦湯も美味しい」


 食事は強要されず、食べたい様に食べるのが、美味しさの秘訣だと思いました。




「わぁ~デッカイお風呂!!」

「大浴場です、喜んで頂けて嬉しいです、ごゆっくりお楽しみ下さい」


 中居さんの話では、げんせんかけながしって言うお風呂だそうです。

 大きなお風呂にお父さんとお母さんに僕の3人だけ、喜んでかけ湯すると物凄くお湯が熱い、何とか漬かったけど我慢出来ない熱さに、お湯から飛び出ました。

「熱い!もう出る…」

「耳の後ろとかしっかり洗いなさい」

 お母さんがうるさく言ってるけど、僕は適当に手拭いでこすってお風呂からさっさと出る事にしました。


 お父さんとお母さんが出てくるまで、汗を拭きながら冷たいミルクを飲んでまって居ました。




 夜はお母さんのベッドで一緒に寝ました。

 向こうのベッドでは、お父さんがスネて居ます。




 朝食は、温かいミルク、ソーセージにトマトをトロリ煮込んだソースをかけた物にパンです。

 何をいくら食べても良いそうで、御代わり自由、僕はソーセージ3本、ミルク2杯、パン2個食べお腹いっぱいになりました。


 とっても美味しかったけど、パンはお父さんのパンの方が、もっともっと美味しい···よく考えると、お父さんのパンは、もう食べれなくなるんだ。


「ナユタ?何で泣いてるの?」

 僕は泣いていたようです。


「お父さんのパンが食べたいよぅ!!」

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