第2話 意味不明の法律

 ナユタの秘密は、町ぐるみで秘匿されて居ました。

 秘匿理由はナユタが大人になって、使用可能に為れば皆で楽しく……。


 しかしナユタの秘密は、たった一人の酔っ払いのせいで、王国中にあっと言う間に広まる事になりました。



 商店街の外れに、町内ただ一軒の酒場があります。

 今夜も満員満席の大にぎわいのようです。


 カウンターの右端に一人、行商か旅人か見掛けない人が一人、静に地ビール飲んでいました。

 こう言う人を放って置かない、酔っ払いが何処にでも居ます。


「おいぃ湿っ気た面ぁしてぇ、さけはぁ楽しく呑めぇ」

「あぁ兄さん、楽しい話でも聞かせておくれよ!女将!兄さんに御代わりあげて!」


「おぅ姐さんゴチ!酒のおごりの礼っちゃ何だが、この町にはよぅ!オトコが居るん···むっ」

 直ぐに酔っ払いの口が鬱がれ、回りの皆が取り押さえ、担ぎ出されたのですが旅人には確り聞かれました。

 輪をかけた、不自然な町民の行動で、商人はオトコの存在を確信しました。


 この行商人が、只の商人だったら其でも問題無く、たまに何処かで話題にのぼる程度で済んだはずでした。

 王が各地に放った、情報収集隠密でなかったならば。




 何事も無かったかの如く、数ヶ月が経ち、今日僕は7才になりました。



 エライ町長が、誕生祝いにやって来ました。

 僕はベタベタ触ってくる、エライ町長が少し苦手です。


「ナユタ君、誕生日おめでとう!!」

「ありがとう!」社交辞令って言うお礼を言います。

「おぅ!!7才なのに確りお礼が言える、賢い子に育って嬉しいぞ!!」

 日本で僕は11歳小学5年生でした、当然この程度の社交辞令って出来ます。

 また、ベタベタ触られました。

 今日はお尻で無くて、前をグリグリしつこく撫でます。


「エライ町長それ位で止めてくれんか」

 お父さんが町長を止めてくれました。

「おぅ?嬉しくて言い忘れる所だった、新しい法律が発表されて明日、国王様の迎えが来るそうだ」


 御菓子と短剣を置いて、町長は帰って行きました。

 新しい法律って『七歳にして席を同じゅうせず』って訳の分からない法律でした。


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