パン好きのお店にようこそ!

犬時保志

第1話 僕のこと

 昔々ある世界の、ある所の物語じゃ。

 その世界はのう遥か昔に、なんでか知らんが女ばかりになっておったそうじゃ。


 出産許可審査に合格した夫婦が、正式な手続きが行われたにも係わらず、変わった子供が産まれた所から、騒動が始まるのじゃ。


『創成の語り部より抜粋』

 ◈◈◈


 男はX染色体Y染色体が必要、ひ弱で消滅しそうなY染色体の為、一説では男は近いしょうらい消滅するのでは無いかと言われて居る。

 男が消滅して900年程経った世界の辺境の町から話は始まる。




 僕の名前はナユタと言いますパン屋の子供です。


 この世界に生まれてから、ずっと「ナユタ!あなたは特別な子なのよ!」って撫でられ、皆に言い続けられて育ちました。


 何が特別なのかな?訳が分かりませんが、特別と言えば僕は今のナユタとは違う人生を微かに覚えて居ます、たしか日本という国の小学生で通学中暴走車が僕達に突っ込んで来て、凄く痛くて苦しかった記憶があります、でも特別な事はその事とは違うようです。





 お父さんとお母さんは、町で評判のパン屋さんです。

 僕はお父さんが作るパンが大好きです。

 微かな記憶ですが日本の小学生だった時も、お父さんのパンより美味しいパンを食べた事が無いように思います。


 だから僕の夢は、お父さんが作るパンみたいな美味しいパンを作ることです。

 でも、「ナユタは特別だから、もっと皆の為になる仕事をしろ」と、お父さんもお母さんも、パン作りを教えてくれません。




 夕食が終わり、今日もお父さんとお母さん、僕の3人でお風呂に入って、いつもの洗いっこしています。


 あれ?お父さんもお母さんも、前がのっぺりで何も無い、僕だけちょこんと可愛いチンチンがある、チンチンの無いお父さんとお母さんはどうやってオシッコしてる?


 今までは気にもしなかった事だけど、突然凄く気になって聞きました。


「お父さん、お母さん、何で僕にはこれが有るの?」

「ナユタは先祖返りと言って、大昔の人間は、ナユタみたいに尻尾が有ったそうだぞ」


「男って言ったそうよ!特別のナユタは、立派な男に成るんだよ!!」

僕が男って当たり前の事を言ってる、それよりチンチンの事を変な呼び方してる。

「しっぽ?これってしっぽって言うの?」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る