暗黒勇者
仮眠
第1話「転生」
「僕はやってない!本当なんだ!」
「うるせー!美夜はお前に殴られたって言ってんだよ!」
健二が僕の髪を引っ張る。僕は本当にやってない。美夜のことなんて殴っていない。
「健二くん聞いてくれ!そもそも美夜は僕と付き合ってるし、僕は美夜を殴ったりしてない!美夜そうだよな!」
「お前頭おかしいの?美夜は俺と付き合ってるんだぜ。お前なんかと付き合うわけないだろう!」
健二は笑っていった。
「そんなはずない!美夜は僕と付き合ってるはずだ!」
そんなことあり得るはずない!美夜とは映画もみに行ったし、遊園地にデートにも行った!美夜は僕と付き合ってるはずだ!
「うるせー!黙っとけ!」
健二が僕の腹を殴る。
「をえ!」
「美夜どうなんだ?こいつと付き合ってんのか?違うよな!」
「美夜こいつに付き合わないと、妹がどうなっても知らないぞって脅されてて、それで無理矢理付き合わされてたの。グスグス」
「そうだったのか!そんなこと知らずに怒鳴って悪かった。」
健二が美夜を抱き寄せる。嘘だ!僕はそんなことしてない!美夜が僕の告白を受け入れたじゃないか!脅しなんてしてない!
「僕はそんなことしてない!美夜が何か誤解してるだけだ!美夜は僕の告白を受け入れたじゃないか!」
「黙れ!このゴミクズが!」
健二の拳が僕の顔面に当たる。
「うわああ!」
僕は後ろに倒れ込んだ。痛い!僕がなんでこんな目に合わないといけないんだ!
「美夜を泣かせておいてお前はまだそんな言い訳か!お前は本当に人間のクズだな!」
「違う!本当になんかの誤解なんだ!僕は本当に!」
「黙れ!」
また健二の蹴りが僕の脛足に当たる。
『ボキ!』
「痛ったああ!」
足から異様な音が聞こえた。痛い!痛い!足が痛い!もしかして折れたのかもしれない。
「はは!お前足折れたんじゃね?」
そう健二が言った瞬間みてみぬふりをしていた他の生徒たちがいっせいに僕に目を合わせた。
「美夜を泣かせたんだ、骨折れたくらいで泣いてんじゃねーよ!」
健二の蹴りが次は顔面にあたった。
「おヒャいぢゃい!がふょ!やべて!」
「お前顔面つぶれて声も出さてねーやん!ダッセー!」
なんで僕がこんな目に遭わないといけないんだ。なんで僕だけ!
「健二くん流石にやりすぎじゃない?こいつ死んじゃうかもよ?」
美夜が健二の腕を掴んだ。よかった。美夜はやっぱり僕の味方だったんだ!多分健二に脅されていたんだ!
「美夜大丈夫。美夜を泣かせたこいつを生かすわけにはいかないだろう?それにこいつが死んでも親父の権力で自殺ってことにさせるから全然大丈夫だよ。」
「そっか。よかった。美夜は健二くんがもし捕まっちゃったらって不安だったの。そうだったね。健二くんのお父さんって、この街に市長さんだったよね。だったら安心だね。」
美夜は笑って健二から腕を離した。そんな!美夜は僕の味方じゃなかったのか?
「まあ、そういうことだから。お前が死んでも俺は捕まることはない。だからお前を今から殺します!」
「やべて!ちにたくない!」
「おい誰か!こいつのこと殴りやすいように掴んどいてくれ!」
「了解!健二くん俺に任せな!」
そういって、龍が席を立って、こっちに近づいてきた。嘘だ!龍は僕の友達だ!まさか龍も僕のことを裏切るのか!ふざけるな!
「龍お前は気が利くな!じゃあこいつの腕を後ろで掴んどいてくれ」
「わかった」
龍は僕の後ろに回った。嫌だ!僕はまだ死にたくない!
「龍お前何やってんだ?」
健二が怒りをみせ言った。龍が僕の腕をつかみ立たせてくれた。やっぱりそうだ!龍が僕を裏切るはずがないんだ!龍は昔からの友達だから!
「健二くんさすがにこれはやりすぎだ。もし美夜を殴ったことが真実だとしても、足の骨をおって、顔をこんなにするなんて、何がなんでもやりすぎだ。さっき、警察と救急車も呼んでおいた。」
「じゅう。りゃりがとう」
「龍お前自分が何やってるかわかってんだろうな!」
健二が叫んで、龍に拳を振り上げた。龍はその拳を見事に受けて、吹っ飛んだ。え?そんな。龍が死んじゃう!
「はあはあ!龍お前のことは絶対に許さん!」
「じゅう!じゅう!」
僕は足を引きずり、龍に近づく。嫌だ!僕のせいで龍が死ぬなんて絶対に嫌だ!
「あ!そっか!俺スッゲーいいこと思いついたんだけどさーお前ら二人とも窓から落ちたら自殺ってことになるんじゃね!」
健二は腕を組んでうなずいている。
「よしじゃあお前ら飛び降りろ!」
「いはだ!ちぬものか!」
僕は気絶した龍の前に立つ。これ以上龍を傷つけさせるわけにはいかない!
「健二くん!さすがにこれはやばいって!」
美夜が健二の腕を掴む!
「美夜お前は少し黙っとけ!警察がきて俺が捕まったらどうすんだよ!」
「きゃあああ!」
健二が美夜を振り払う。
「飛び降りたくないなら俺が落としてやるよ!」
そういうと健二が龍を掴み窓の方へと歩み出した。だめだ!絶対にいかせない!
「だめろ!」
僕は最後の力を振り絞り、健二の足にしがみついた。いかせない!
「邪魔なんだよ!」
健二は僕のことを最も簡単に振り払い、歩み出した。だめだ!龍が死んじゃう!
「おい!誰か窓あけろ!」
健二がそういうと窓際に座っていた一人に生徒が窓を開ける。
「でもこれ僕が開けたら僕もこのことに関係してるってことになるんじゃ?」
「安心しろ親父の権力で、この時間にこのクラスには誰もいなくて、龍とあいつが喧嘩して、間違えて落ちてしまったってことにしといてやるからさ、お前らは黙って勉強でもしてろ!ここには誰もいなかった!俺は何もしてなかった!いいな!」
『はい!』
「よし」
クラスメイトは健二のいうことを忠実にきく、犬のような存在になっていた。
健二は龍を思いっきり、掴んでふり窓の外に出した。
「みゃって!」
「待つかバーカ!」
そういうと健二は龍をてから離した。僕は窓を側へと足を引きずり、向かった。嘘だ!龍が龍が龍が!僕のせいで死んじゃう!
「よし!じゃあ次はお前だな!」
健二は僕の洋服を掴んだ。嫌だ!死にたくない!
「お前が死んだら、俺はこれで無罪だ!喧嘩をしていた二人の生徒が間違って窓から落ちてしまい死亡!俺で明日の新聞のタイトルは決まりだな!」
「じゅうはじゅうは!」
「龍のこと見てみるか?」
健二は僕の上半身を窓から出した。そこには龍だったものがあった。
「じゅう!じゅう!じゅう!」
いくら叫んでも返事は帰ってこない。ピクリとも動かない。
「うるせー!黙れ!龍は自殺したんだ!そうだろう!」
『そうです!』
全員同じ答えが帰ってきた。龍!ごめん!ごめん!本当にごめんなさい!僕のせいで、僕のせいで!
「じゃあな!ゴミクズ!」
そういうと健二を僕の下半身を窓から外へ出していった。
「だすけて」
僕はそういうと中に浮いた。その瞬間時間が止まった。
『3年A組のみなさん。みなさんは我々の世界を救う勇者として選ばれました。転生を開始します。』
暗黒勇者 仮眠 @mino47
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