第2話

「…覚悟って、わたし達をどうするつもりよ?」


「どうするつもりも何も…普通に殺すよ?

計画するだけなら許してやろうと思ってたんだけど、実行されたらさすがに許せんわ」


『…ッ!?』


殺す気満々だった相手には、こちらも殺す気満々で応えてあげるべきだろう。

キッチリと処す。


「…勇者様、違うのです!! 私はあの幼馴染の男に脅されて、仕方なく勇者様に毒を…!!」


「ハァ!? 脅されただぁ!? 何言ってんのよ、このクソビッチ!! あんたが言い出しっぺじゃん!! 魔王を倒したらあの醜い勇者をこっそり殺して、幼馴染のアイツが魔王を倒した事にしちゃおうってさぁ!!」


「そんな事は言ってません!!」


いや言ってたよ。

賢者タイムにしかと聞きましたから。


「勇者様、お聞きください。私はあの外道に無理矢理辱しめを受け…グスッ。なんとか聖女の資格でもある前の純潔は守ったのですが…。後ろを汚された事を、勇者様にバラされたくなければ、と…グスッ」


わぁ、嘘ですぐに涙をポロリできんのすげーなー。


「嘘をつくなぁ!! あんたがあんな醜い勇者と結婚したくないって、泣きながら幼馴染のアイツに色仕掛けしたんでしょうが!! 自分からケツの穴にブチ込んで、涎垂らしながらアへアへしてたくせにぃ!!」


「私はアへってなどいません!!」


いやアへってたよ。

そこは良く覚えてますよ、マジで。

お偉いさんが勝手に決めた事とはいえ、婚約者が寝取られた瞬間でしたからね。


ま、寝取られダメージは少なかったがな。

元々俺と聖女じゃ釣り合いが取れないと思ってたし。

魔王を倒して王都に戻ったら、お偉いさんに破談にしてもらうつもりだったもの。

その事は何度も聖女に伝えてたんだけど…信用できなかったっぽいね。

へっ…今となってはどうでもいい事だけどよ。


「さて、そろそろ殺るか。元仲間の情けで、せめて苦しまないよう綺麗に首チョンパでポロリしてやるから、そこを動くんじゃねぇぞ」


『ヒッ…!?』


元仲間な元イケメンは残念ながら苦しませちゃったけどな。

そこはまぁ…そんな毒を作った魔法使いが悪いって感じでよろ。

御愁傷様デス。


「ゆゆゆ、ゆ、勇者様は念願の魔王を殺ったばかりで!! 気が高ぶり正常な判断ができないようですね!? そ、それならば、聖女たる私の神聖なる純潔を使い、高ぶった勇者様の性気を発散してください!! そして今ここで夫婦の契りを結びましょう!! さぁ、どうぞっ!!」


…四つん這いになってスカートをまくり、こちらに突き出したケツを縦横斜めに振る聖女。

命の為ならなりふりかまってられない御様子だ。

俺にビビってチビッたのか、白いパンツに黄色い染みができてますね。


「あ、あんたねぇ!? 自分が助かりたいからってそんな……」


「黙れこの裏切り者っ!! 私は今、勇者様に自分の全てを捧げるという、人生で一番大事な時なのです!! 邪魔をするなっ!! 裏切り者は無様に断罪されてろっ!!」


「…っ!! あんただって同罪のくせにぃっ…!!」


「さぁ勇者様!! カモン!! ファックミー!! 私の神聖なる穴に、あなたの逞しい性剣を突き立ててくださいっ!! あなたの放つ白い愛で私をいっぱいにしてっ!! ハリーハリー!! 神聖なる穴はもう聖液でビチャビチャですのでっ!!」


「うわぁ…」


…ファックする気は無いけど、あまりにも聖女の命乞いが馬鹿馬鹿しすぎて殺意が薄れてきたんだが…。

どうしよ、聖女は生かしたまま王都に連れて帰り、お偉いさんに処罰を任せちゃおっかな。

どのみち99%で死刑だと思うけど…。


「勇者様、カマンッ!! ギブミーペニ…」


「杭よ貫け」


あ…魔法使いのヤツ、ヤリやがったな。


「グヒ!? オギャアァァァァッ!!?」


うっわ…。

オーガの腕くらいはありそうなぶっとい杭が、聖女のケツにグッサリと…。


「あ、ッが…あ…へェ………」


…あーあ、こりゃイッちゃったな。


「キャハハハハハハッ♪ ビッチざまぁぁぁっ!! お似合いの死に様だねぇぇ♪」


うわぁ…なんだよそのテンションMAXな感じは…。

やっぱイカれてんなこの女。

苦楽を共に3Pしてきた仲間を自らイかせたというのに、凄く楽しそうにキャハってんよ…。

よし、怖いからはよ殺害しとこ。


「あー…悪いけど、今からお前も死ぬからな? そこんとこヨロシク」


「…ねぇ糞勇者ぁ。ちょーっとばかり、剣聖を見てほしいんだけどぉ?」


「ゴリ聖を?」


「ムグゥゥ!! ムグゥゥゥ!!」


言われた通りにゴリ聖を見ると…なんとそこには、宙に浮かんだぶっとい杭が漂っているじゃあないの。

なるほど、人質ですかそうですか。


「…前言撤回。お前、マンカス以下だわ…。スソガで性病膿グロ黒ビラマンって感じ…」


「ハッ!! 何とでも言えばいいしっ!! それより剣聖の命が惜しかったらわたしの言う事を聞きなさいよっ!! まずはその剣を捨てろぉ!!」


はーあ、完全にやらかした。

これは聖女の振りケツに気を取られて、ゴリ聖の身を守るという事を忘れていた俺の失態だな。


くそぅ…俺の次は何も知らないゴリ聖も殺すとかいう計画だったし、守っておかなきゃって思ってたのに…。

仕方ない、今は剣を捨てるしかないか。


「…ほい」


「キャハ♪ やった♪ こんなオーガみたいな女でも、ちゃんと人質に使えちゃったよぉ♪ …あれ? っていうか、最初っから剣聖を人質にして毒を飲ませれば良かったみたいな?」


「…もし計画がそうだった場合は、魔王を殺ったら即お前を殺ってたけどな。魔法使いのお前さえ止めれば、ゴリ聖をどうにかできるヤツはいなくなるしよ」


「ふーん、なるほど。じゃあ即殺されてない、今の方がマシってことかぁ…」


「そんなことより、次はどうすればいいんだ?」


「えーとね、わたしを許す…っていうのは、絶対ムリだろうしぃ…」


「…許してもいいぞ?」


「うっそだぁ!! そんな事言っといて、剣聖を解放したらすぐにあたしの首をチョンパする気でしょ!? 騙されないからね!?」


チッ、騙されとけよ。


「えーと、そうだなぁ…。剣聖の命は保証するから、糞勇者が今すぐ死んでくれたりしない?」


「保証だぁ? 騙されるわけねぇだろ。俺が死んだら、その後お前は確実にゴリ聖も殺す。ゴリ聖の口からお前の悪行がバレたら絶対にマズイだろうからな。つーかそもそも、俺はゴリ聖より自分の命を優先する。仲間としてなんとか助けるつもりではいるけどよ」


己の命が一番大切でございますんで。


「うーん、じゃあ…わたしが安全に逃げられるように、足を切り落としてくれないかなぁ? 糞勇者なら時間さえかければくっつけたり生やしたりできるでしょ? 前もやってたもんねぇ? 超キモかったなぁ♪」


…確かに時間さえかければできらぁ。

聖女がいつも俺の回復を後回しにしていたおかげで、自分自身の回復だけならそこそこできるようになりましたからね…。


…つーか今更だけど、前線で戦って腕や足が吹き飛んだ勇者より、逃げて転んだイケメンのしょぼい怪我を優先するってどうなのよ…?

イケメンも本当にヤバそうな怪我以外、俺には回復薬を渡してくれないしさぁ…。


「…何黙ってんの? 早くどうするのか決めてくんない?」


「ん?あぁ、足チョンパね…。別にそれでいいぞ」


「交渉成立♪ そ、れ、じゃ♪ ………よし、固定完了!」


俺が捨てた剣を拾って床に突き立てた後、魔法の力で更に固定する魔法使い。


「はーい♪ じゃあ糞勇者は今からコレで足を切り落としてくださーい♪ あ、剣を手に持ったり自分を切る以外の妙な動きをしたら、剣聖が聖女と同じ目に会うから気を付けてねぇ♪」


「ムグゥー!! ムグゥー!!!!」


ゴリ聖のムグりが一段と大きくなる。

足チョンパくらいでそんなに騒がなくてよろしい。

全然平気だから気にすんなっての。

痛みには慣れちゃってるんで。

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