第3話
「まずは左、よっ、とぉ!!」
剣を脛でキックだオラァ!!
「ムグゥー!!!!」
ふぅ…上手く一発でポロリできて良かったぜ。
綺麗な断面の方がくっつけやすいんですよこれが。
「はーい、次は右ねぇー♪ 」
「あいよ」
あ、もう立ってキックできないじゃん。
仕方ないな。
右は床に寝っ転がって…そぉい!!
「ム゛グゥゥゥゥ!!!!」
おっしゃ、右もポロリでミッションコンプリート。
「…ほら、キッチリ足はチョンパしたぞ。疲れてるからくっつけるのに片方30分はかかると思うし、逃げるならさっさと逃げやがれや」
「…何言ってんのぉ? まだ真ん中の汚い雑魚な足が残ってるじゃん♪ そっちも早く切り落としてよねっ♪」
…チンチョンパだと?
それはもはや只の嫌がらせだと思うのですが?
まぁ…もう両足のチョンパはやっちゃったし、ここまで来たらやってやるけどさぁ…。
「…全部くっつけ終わったら即お前をブチ殺しモードに移行するからな…。絶対に覚えとけよ…?」
「ハイハイ、わかってますよ♪ だから早く切って♪」
「…チッ」
剣に縮み上がった雑魚ドリル性剣を指で引っ張りくっつける。
あとは、勇気と覚悟だけだ…!
「ムグゥ!! ム゛グゥ゛ー!!!!!!」
ゴリ聖はちょっと黙っとけ。
さすがにこっちの足を切り落とすのには、結構な勇気がいるんだからさぁ…。
男としての尊厳が凄く傷ついちゃいそうだし…。
「あれぇ? 動きが止まっちゃてるけどどうしたのぉ? もしかしてビビっちゃったとかぁ? キャハハ♪ 雑ぁ魚♪ 雑ぁ魚♪ 雑魚チンビビり糞勇者ぁ♪」
「ムグゥ!! ムググゥ!! グッググゥ!!」
二人共マジでうっせぇな…!!
こちとらたとえ少しの間の別れだろうと、何十年と付き合ってきた愛しいムスコとの別れの挨拶をしてる最中なんだよ…!!
邪魔すんなっつーの!!
「あ、そうだぁ♪ せっかくだし、剣聖が今どんな気持ちなのか聞いてみよー♪ 好きな男が自分の為に傷ついちゃう悲劇のヒロインの気持ち…わたし、気になります♪」
うわぁ…とっても悪趣味。
「ムグガ!? ガッグッガグゥ!!!」
「あ、糞勇者を好きな事バラしちゃってゴメンね♪ でもこの糞勇者の事だから、とっくに気づいてたと思うよぉ♪」
そりゃ知ってましたとも。
俺の気が引きたいゴリ聖の相談に、お前等がビキニアーマーを着るようにアドバイスしてゲラゲラ笑ってた事もなぁ…。
まぁそんな事はいいとして、今は愛しいムスコとの別れに集中さしてくれや…。
頼むから静かにして…。
「ムグ…!! ムグガムガグガガッ!!」
「はいはい♪ 今すぐ口の拘束だけ解いてあげるから♪」
「ムッ、ハ…!! 魔法使いっ!! 後ろぉぉ!!!」
「はぁ? 後ろぉ?」
…魔法使いの後ろ?
ゴリ聖のヤツ、急に何を言い出して…はぅわ!!?
「…っ!? キャアアアアァァ!!!」
『お゛ッ、メ゛んごぉ……!!』
魔法使いのすぐ後ろの足元…。
そこに、這いつくばってここまで辿り着いたのであろう、ドロった元イケメンの姿を発見。
ソイツが今、魔法使いの足を掴もうと…。
「あ…な、何触ってんのよぉぉぉ!!?」
『お゛め゛ッ…ヂョッ!!!!』
「痛っ!!? あ、あ…イヤァァァッ!!!」
…あーあ、掴まれちゃったあげくに噛まれちゃった。
こんなん絶対、ゾンビ映画よろしくな事態に発展するでしょうに…。
『ヂョォォめェ!! ヂョめッ!!』
お、元イケメンが噛みつきを連発。
もうコイツ、完全にゾンビ的なモンスターでいいね。
「い、痛いい゛い゛よぉ!! 離しでぇぇぇ!!!」
うっわ、魔法使いの足の肉…めっちゃ抉れてるんですけど…。
「くっ…!! 勇者様お願い!! 魔法使いを助けてやって!!」
「いや俺、足無いからすぐに魔法使いのとこまで助けに行けないんだよ。まぁ斬撃くらいなら飛ばせるけど、密着してるから魔法使いごとバッサリよ?」
「くっ!! 魔法使いが勇者様の足を切らせたりしなきゃ…!!」
…本当は腕の力でピョンと跳ねれば魔法使いのとこまですぐに行けるけど、近づいたせいで俺まで噛まれでもしたら嫌じゃんね。
そもそも殺すつもりだったから、助ける必要なんてないし。
「魔法使いっ!! 助けてあげるから今すぐあたしの拘束を解けぇぇ!!!」
「わ、がっだぅ…!? おっ…お゛ぇぇぇ…!!」
「ま、魔法使いぃぃっ!!」
魔法使い、数種類の体液噴射で人生終了のお知らせ。
これは確実に幼馴染と同じ運命ですわ。
「お゛、おだ…ず、ゲェェェ……」
『マんヂョォォ!!!』
うんうん。
ドロドロの幼馴染君も仲間が増えて嬉しそうだね。
「くっ…!! 早く解けてよぉぉ!!!」
魔法使いのヤツ、毒にヤられて拘束解除するのを微妙に失敗したみたいだ。
ゴリ聖の黒ガムテープ、凄くゆっくりと剥がれていってるし。
拘束より先に魔法使いが溶け始めちゃってるの草w。
「……ゴボッ…」
最後に口からドス黒液を吐き出した後、ピクリとも動かなくなった魔法使い…。
御愁傷様ー。
「くっ…!! 間に合わなかった…!!」
「…みたいだなー。じゃ、被害が広まらないように…っとぉ!!」
オラァ!!
飛ぶ斬撃連打を喰らいやがれ!
「勇者様っ!?」
さっさとこのドロドロ幼馴染達を処分しないと。
最悪の場合、異世界でゾンビパンデミックが起こる可能性があるし。
うーん…そうはならないようにするには、ドロドロ幼馴染達を微塵切りになるまで刻んだ後、しっかりと灰になるまで燃やせば大丈夫か?
とりあえず斬撃連打と平行して、足をくっつける作業にも取り掛かるとしよう。
「ゆ、勇者様!! 待って!! まだ何か助ける手段が…」
「いやもう絶対助けるなんて無理だろ。つーかゴリ聖、もうすぐ拘束が解けるみたいだけど、絶対あいつらに近づくなよ。あのドロドロに触れたら死ぬぞ。多分」
「くっ…!! わかった…」
…そうガックリすんなって。
相手はお前も殺す気マンマンだったカスなんだから。
ったく、お前は優しすぎるんよ。
…まぁ、俺はゴリ聖のそんなところが好きで…惚れちゃった感じではあるけど。
「…なぁ、ゴリ聖。これが終わったら、大事な話が…」
「…っ!! 何アレ!? 勇者様!! 荷物持ちの股関部分を見てっ!!」
…何が悲しくてバラバラゾンビになったとはいえ、デカいとよく言われていたイケメンの股関部分を見なくてはいけないのか…。
まぁ見ろと言われたなら、一応は見るけども…。
「…ん!? 何であんなところに魔王の頭が!?」
斬撃の衝撃で元イケメンの体が動くまで、ずっとうつ伏せ状態だったから気がつかなかったぞ。
こりゃパッと見だと完全に魔王が咥えてる様にしか見えんな。
うーむ…魔法使いにイケメンが風魔法で吹き飛ばされた時に、魔王の頭も一緒に吹き飛んで上手いこと股関とドッキングしてしまったんだろうか…?
「ね、ねぇ勇者様…。あたしにはあの股関を中心に、バラバラになった肉が動いて集まってるように見えるんだけど…!!」
「おいおい…。まさかアイツがゾンビみたくなったのは、あのヤバそうな勇者ポロリが魔王の頭と反応したからとか…!?」
その可能性がかなり高そうだ。
魔王の額になんか謎の魔石みたいなの付いていたし…。
それが原因で妙な力が働いていても、全然おかしくはない気がする。
しかしまぁ、そんな妙な力と反応しちゃうとか…勇者ポロリの成分はいったい何なんでしょうねぇ…?
製作者に教えて貰おうにも、ヤツはもう…。
『お゛、ヂンッ…ボぅ…』
とか、ドロドロに蕩けた顔で言ってるし…。
「ゆ、勇者様…なんか、肉がドンドン混ざりあって、肥大化までしてる気が…」
「ああ…もう嫌な予感しかしねーよ…。おいゴリ聖、お前は俺の後ろで飛ぶ斬撃連打の準備しとけ。絶対にアレに近寄るなよ? 俺が合図したらひたすら飛ぶ斬撃連打な」
「わ、わかった!!」
…本当は逃げろと言いたいところだが、ゴリ聖は絶対に言うことを聞きやしないだろう。
魔王との死闘の後でほとんどの力を使いきり、その上両足も無い俺より弱いゴリ聖を守るには今はこう指示するしかあるまい。
そもそも魔法使いはここから逃げ出そうと、出口の近くにいたからね。
そんな訳で裏ボスの出現位置が出口にめっちゃ近いから、俺もゴリ聖も簡単には逃げれないっていう悪夢…。
『お゛ヂンま゛んヂョお゛ォォ!!』
そうこうしているうちに縦横5mくらいに肥大化したドス黒肉な球体に、元イケメンと魔法使いのイっちゃった頭が付いた醜悪な裏ボスが降臨。
裏ボスでも弱いパターンだったらいいんだけどなぁ…。
既に何度も変身前に俺の飛ぶ斬撃を受けてるのに、完全にノーダメっぽいし…。
生ぬるい相手じゃないのはもうほぼ確定だよね…。
まぁだからといって簡単には死ぬ気はないから、やれるだけ頑張ってみっか。
「殺るぞゴリ聖!! 飛ぶ斬撃連打だっ!!」
「了解っ!! うおりゃああっ!!!」
『ま゛んっ…!? ヂョ、ん…!! び、ョン…!? ゴッ…!!』
クソッ…!!
斬れてはいるけどすぐにくっつきやがる!!
斬撃じゃダメージが入る気がしねぇ!!
俺に必殺技の超勇者波を放つ力が残っていれば…!!
『ま゛ン…ヂョ?? め゛メ゛んヂョ!!』
…ん?
なんだ?
元イケメンの顔が聖女の死体がある方に反応して、卑猥な形の触手を伸ばしていくぞ…?
「…ヒッ!? バ、バリア出力最大ぃぃぃ!!!」
『聖女!?』
卑猥な触手が、聖女のバリアによって弾かれる。
つーかあんなぶっとい杭をケツにブチ込まれたのに生きとったんか聖女。
イったふりしながら長いスカートで傷口を隠しつつ、コソコソと治療してやがったか。
裏ボスが降臨しなければ、イったふりでワンチャン俺から逃げれたかもだけど…残念でしたね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます