第2話 死と再生の怪物
私は、言われた言葉の意味を理解出来なかった。
デスゲームとして書き込まれた物であり、いきなり死んで下さいと言うのは、安直すぎた。だが、そんな事はどうでも良かった。死ねれば良いのだ。
殺してくれれば、八つ裂きだろうが、拷問だろうがそれでもいい、そう感じたのだった。だがそれは、私だけで、他の参加者は、戸惑いながらも反論した。
「どういうことだ、いきなり死ね?ふざけるな!」
「そっ、そうだよ、、せっかく、、痛みが貰えると、思ったのに、、」
腕にナイフを突きつける狂人は、本当に狂っている事が分かった。
「約束された人生ってのはどうなるんだよ!」
ホームレスは、金が恐らく目当てでこのゲームに参加した事を思わせる口振りだった。その他の、車椅子の少年と、目が虚な男は、何も言わず静かになっていた。
すると、モニター越しに、ガスマスクを着けた男は、指を鳴らした。
そして次に、言っている事が本当の事だと言うことが分かった。
バンバン、ズキュン、ドドド、室内は、けたたましい、様々な銃声とともに、血飛沫が飛び交っていた。
全員が巻き込まれ、全員、体が蜂の巣になっており、その姿を最後に私は、生き絶えた。痛みは、少なかった。痛みよりも熱さに近しく、体に灼熱が走り回った。人間、死ぬ直前、ドーパミン等の脳内麻薬が大量発生して、しかも私は、死ぬことを拒まず。恐怖すらしていなかった。
「やっと、解放される、、、」
私は、幸福な思いをしながら、天に昇って逝けると思っていた。
そこで意識は、覚醒した。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
そう思いながら、必死に叫ぶのをこらえた。
他の人の亡骸を見て、僅かに再生を始めている事が分かった。飛び散った血液は、再び体に戻り、穴が空いたはずの体は、皮膚が結合しあって戻っていく。
まさに、神の技と言える再生力だった。だが、体を貫通した痛みは、再生の代償として支払われる様な気もした。
だが、あれだけの銃弾を四方八方から撃たれ、なぜ生きているのか、不思議にもなった。いくら、再生能力が強くても、人は、死ねばそこで終了だ。
そんな疑問と同時に、死ねなかったという、答えに、私は絶望した。
それに、私は明らかに人間とは違った。こんなおぞましい再生力、到底人間の力とは思えない物だった。
「目が覚めましたか?」
ガスマスクの男が私に話しかけて来た。
「何で、何で殺してくれなかったの?」
私は、殺して欲しかった。死にたかった。この世の中とは解離した別の存在となりたかった。それなのになぜ。
「なぜ、どうしてと、問われましても、だって貴方。」
「―――――笑っているじゃ無いですか。」
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