【累計PV18000突破に感謝!】【現在一時休載中】異世界帰還者の事情 第一章 異世界帰還者が異世界へ行く前の事情【2025年1月を目標に再構成版を発表予定】
第11話 寝起きの華蓮と天木家の洗濯事情
第11話 寝起きの華蓮と天木家の洗濯事情
食卓でそんなにぎやかな会話をしていると、二階から誰かが階段を降りてくる音がした。
台所からそちらをのぞいてみると、いかにも寝起きのままで、
「……おはよー」
「あ、おかーさんだ。おはよー」
「お母さん、おはよー」
「華蓮さん、おはよう、お疲れさん」
三者三様で出迎えるが、華蓮はボーッとしたまま、居間のソファーに座り込む。しかし、いつものことなので、三人ともあまり気にせず、子供たちも夕食に戻った。
「華蓮さん、ご飯はどうする?今日は金曜だから餃子だけど」
居間に座って、ボーッとテレビを見てるのか見てないのかわからないような華蓮は、ボサボサの髪と大きめの胸を揺らしながら、ゆっくりとこちらを見た。
(ありゃ…華蓮さん、ブラ着け忘れてる)
仕事の時などは、キリッとしたクールビューティーなキャリアウーマンだが、昔から朝や寝起きには弱めなので、時々こんなポカをする。パジャマの上からカーディガンを羽織っているが、元が大きめなので分かってしまった。そろそろ
「あー、寝起きで餃子はちょっと……」
その様子に、
「じゃあ、インスタントだけど、スープ春雨とかで良い?」
「うん、それで~ありがとねー」
「いんえ~」
十八はシンク下からやかんを取り出すと、水を入れてコンロにかける。そのあと、食材ストックの棚から、インスタントのスープ春雨を取り出した。
ついでにお茶用のやかんに入ったお茶を、洗い終わった冷温兼用のポットに移す。入れたポットは、まだ四月なので常温で置いておく。
そして、空になったお茶用のやかんをシンクで洗い、水を入れると、先ほどの春雨用のやかんの隣のコンロへかける。
今はまだ四月だからいいが、真夏になると冷えたお茶を切らさないように、ポットが空けばマメに補充する習慣を、今からつけておかなければならない。
お湯が沸くまでに、一度洗濯機を見に行くと、小さな液晶画面に「10分」の表示が出ていた。あと10分で洗濯が終わるという意味だ。時間を覚えておいて台所に戻る。
戻ると、最初のやかんが沸きだしていた。
火を止めると、用意しておいたカップ麺タイプのスープ春雨に注ぐ。
そのカップを、木製のフォークとともに食卓へ運んだ。
「華蓮さん、スープ春雨、置いておくから、自分のタイミンで食べてよ」
「うん、ありがとう~十八クンは食べないの?」
先ほどより少しシャキッとした顔で立ち上がった華蓮が、居間から食卓へ歩いてくる。
「あーもうすぐ洗濯機が止まるし、そのあとに乾燥だけかけてから食べるよ」
「じゃあ、先に食べておくよ」
「どうぞどうぞ」
その間にお茶用のやかんも沸いたので、火を弱めてから、食材ストックの棚から、ほうじ茶のパックを取り出し、やかんの中に放り込んで、キッチンタイマーを三分にセットする。
「華蓮さん、悪いけど、タイマーが鳴ったら、やかんの火だけ止めてくれる?」
「ええ、いいわよ~」
「ありがとう~」
返事を聞いたあと、十八は台所を出て、洗濯機のほうへ向かった。
洗濯機のそばには、汚れ物を入れるためのカゴとは別に、洗った物を入れるためのカゴがある。そのカゴを取り出した十八は、洗濯機を開けると、洗い終わったばかりの洗濯物を取り出していく。
取り出す時、バスタオルやズボン、シャツなど、ハンガーに掛けるような大物を後にし、下着や肌着、靴下やハンカチなど、ピンチハンガーでひとつひとつ吊っていくような小さなものを、先にカゴの中へ入れていく。
こうすると、大物を先に干してカゴの中から無くせるので、細かい洗濯物をストレス無く探し干すことが出来る。
洗濯物を全てカゴに入れると、それを持って通路を、来た時と反対の方へ歩いていく。突き当りを右に折れて、さらに直進すると、アルミサッシのガラスの引き戸に行き当たった。その引き戸を開けて中に進むと、そこは今入ってきた引き戸のある壁と床以外の四面が全てガラス張りの、四畳ほどの小部屋だ。
この小さなサンルームが、天木家の物干し場である。
部屋全体が南向きなのでとても日当たりがよく、また、万一雨が降っても室内なので濡れることもないのだ。
十八は持ってきたカゴを脇に置くと、今日この部屋で干されていた洗濯物を順番に取り込んでいく。
この時、取り込みながら、きちんと乾いている物と、乾きの悪い重い物を選り分けていった。
取り込みが終わったら、乾いている物はサンルームを出てすぐの引き戸から、食卓のある部屋へ入れるので、そこの床に置き、乾きの悪い物はまとめて抱えると、再び洗濯機まで戻り、その中へ放り込んだ。
天木家の洗濯機は洗濯乾燥機なので、そのまま乾燥モードで使用する。
これも一度使うと止められなくなる物で、乾きの悪くなる冬場などはとても重宝した。
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