第58話 私は今生きている

他でも書いたが、さっきまで危険な思想が私を支配していた。


一気にウイスキーをそのまま飲んで脳を紛らわせる。



私は常に事前に対策を立てている。神経質なほどではなく

もしもに備える程度だ。



私の人生は疲れきっていた。だから東京にきた時に

東京に私を連れてきた幼馴染ではあったがお互いに

誤解していた。



私は彼をある程度は賢いと思っていて

彼は私を頭があまりよくないとおもっていた。



理由は簡単だ。彼は私の母親派で色々吹き込まれていた。

彼は私が人生で出会ってきた人間の中でも賢くないほうだ。

しかし、善人ではあるがメンタルが弱く、

私は今回の事には関わるなと言った。



理由も言った。〇〇君は甘く見てる。未来が見えるわけじゃないが

目に浮かぶように結果は見えてる。彼は仲介に入ってあげようか?と

言った時、私はこう言った。

「やめておいたほうがいい。すぐに弁護士を立てられて親族でもないのに関わるのはおかしいと言われ、それを私に報告して己と私に対して

自ら悲しくなるからやめておきなさいと」



だが、私の恐ろしい母親を理解できていない彼は

母親に頼まれて私と母親の仲介にはいってきた。

彼は徐々に私の母親がかなり危険だと気づいていった。

そしてすぐに仲介に入ったことを後悔した。

私があれほど何度も入るなと言ったのに彼は甘いから

奴らと戦うには精神的に無理だと分かっていた。



法律も何もあったものじゃない。最後の権力を使い

ほとんどの遺産は母親が乗っ取った。

少し考えれば分かるような事も彼には分からなかった。

私はその当時、生きているのがやっとだった。

だから一問に対して一度しかいわなかった。



父親は私が誰よりも賢いことを見抜いていた。

自分の死後、私にした事を私が許すはずがないと。

彼はおそらく日本人では唯一であろう、

医者の世界には医師会の保険がある。

何かあった時のため家族が露頭に迷わないようにするため

掛け捨ての保険だが六千万入る保険だ。

 


奴は癌であと半年程度しか生きられないのに保険を解約した。

騙されかけた私は精神面は安定していた。考えもはっきりしていた。

ある親戚を訴えたいと言ってきた時、私しか証言者はいなかった。

皆、やりたくない事を私に押し付けていた。



私は一族と縁を切る変わりに六百万ほどの仕事の報酬は要らない

から二度と私を関わらせるなと言った。

弁護士をうちの身内のほうは立てていた。

医師会の弁護士だから安く雇える。弁護士は私に会いたいと言った。

勿論、私は断った。二度と関わらせない条件で

お金は払わなくていいと言ったからだ。


だが私を再び騙して何とか弁護士に合わせようと父親は

動いていた。私はそれを知っていた。

一年ほどして裁判を起こしたはいいが、仕事をしたのは

私だけだった。弁護士とは合わなかったが父親と話して、

今回の被害者は俺だけだと言って辞退したと言っていた。

うちの隣に住んでいる祖母の妹が電気が数日消えてるのを

不審に思った父親が警察と消防署に連絡して

家に入った。


夏場で原型をとどめていないほど腐っていた。

死亡した日もあまりの酷さに前後2週間と記載された。


だが由緒ある家系であったためその家には色々大切なものが

あった。私は初めて見る叔父が親類たちに

その家の大切なものを探して保管してほしいと頼んでいたが

誰もが断った。最後に初めて会った私の所にきた。

家も隣だし、私は困っている人を見捨てることが

出来ない性格のため、他の親族もいつもごめんねとか

いいつつも私に押し付けていた。



人間の腐臭の匂いは独特だった。家は広いが耐えきれないほど

家中に臭いが染みついていた。人型の血がしみ込んでいた。

大変な作業だった。幼少の頃1,2度しか入ったことがない

広い家の中を探す作業だ。極度の人嫌いでもあった駐車場代も

渡しに行っても出てこないほどだった。


叔母の父親は生前、街の三賢者と云われていた。

天皇からも生前も死後も肩書をもらったほどだった。

天皇の誕生日などにも呼ばれていた。


都道府県の大きさや人口から人数は決まるようで

私がいた所では2人だけ呼ばれた。


生前は人を助け、立派な人だったらしいが

時と共に、私の一族はもう腐り果てている。


お金はあるが、親の敷いたレールに乗ってきた。

そこの叔父はまだ生きているが、私の父親とは親しく

祖父とも交流があった。


一代で日本一の会社にまで育てた。私が整理の仕事をしていると

時々きて話をした。子供にも誰にも言えない話だ。

大きな家で庭も広く手入れだけでも毎月相当な額がかかる程の家に

独りで住んでいた。


私の父親の妹と結婚したが、叔母は早くに亡くなった。

私には一人で寂しいと言葉をもらしていた。


全て実話だが、まだまだ誰もが知るような事に

我が一族は関わっていた。こんな話を外に出すのは

私くらいだろう。


皆、親のレールに乗るため話すことが出来ない。

何故なら常に上には親がいるからだ。

若い時は反発していても、気が付かないうちに

親のようになっている。皆そうだ。


哲学の話など縁のない連中で、勉強しかできない。

私は勉強より哲学の道を選んだ。

親戚のほとんどが政略結婚で、一人だけ恋愛結婚したが

絶縁された。


それが私にとっては普通の世界だ。だから私は勉強をやめた。

何代にも渡り、同じことの繰り返しだと気づいてしまったからだ。


死のうかと思っていたがお酒と気持ちを文にしたら落ち着いた。

今でも月に数回程度だが陰に籠ってしまう自分がいる。

長くなったのでここで切り上げて、御飯でも食べます。


お読みになってくれた方、通常は私はこんなのではないので

嫌わないでください。

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