第2話

「妙な男もいるもんだな・・・」

 

 住民は疑心暗鬼だった。あんな男がギャングと真っ当に戦えるとは、とても思えなかったからだ。

 髪の毛はボサボサの若い優男。どうみても、人を撃った経験があるようには見えない。


(いよいよ終いか・・・)


 住民たちは、密かに覚悟を決め直した。その時である。


「町長、町長!」

「なんだ、どうかしたのか」

「いや・・・街の入り口になんかでっかいトラックが停まってるんだけど」

「・・・俺のだ」


「「「え?」」」

 





「何ですかこれ・・・」

「・・・まさか、丸腰で挑むとでも?」

「いや、それにしたってこの量はちょっと・・・」


 無理もない。トラック一杯に積まれた木箱、この全てが武器である。


「敵は多いんだろ」

「まあ、数百人ぐらい」

「じゃあ、これで足りるかも分からん」

「ええ・・・」


 男は早速荷物をばらし始める。


「まずはこれ、地雷」

「・・・じらい?」

「そうだ。所謂クレイモア地雷。リモコン式だからそこら辺は問題ない」

「どこがですか・・・」

「街への入り口は一カ所だろう?そこにこれを設置するんだ」

「あの・・・街の景観とかは」

「命より安いだろ」

「あ、はい」


「次にこれ」

「うわあ、紛争地帯の写真でよく見る奴・・・」

「アフトマート・カラシニコヴァ、47年式。デットコピー品だが。この手の品は世界中で作られてるからな、丈夫で安い」

「ええ・・・」

「弾も良い。M43弾。旧式で反動も強いし有効射程も短い。おまけに連射速度も遅いから、最近の銃とタイマン張ればまず撃ち負ける」

「なぜ使うんですそんなもの・・・」

「一発当てれば人間は大抵死ぬし、それ以外にもそこそこ効く。それに丈夫で安いしな」


「あとこれ、ロケラン。RPG-7」

「何に使うんですか」

「何にでも。とんだ特効薬さ。人にも戦車にも、取り敢えずぶち込んどけば何にでも効く」

「雑だなあ・・・」

「間違った事は言ってないさ。さあ、待ち伏せようか」

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