西部にて
猫町大五
第1話
「なんだい、アンタ」
寂れた街に、一人の男がやってきた。
「・・・ヒーローになれるって街は、ここかい?」
そう言った男に、周囲の人間は口々に言った。
「まあ、ある意味合ってはいるけどな。連中を追い出してくれるんだったら、いくらでも礼をしてやるよ」
「・・・連中?」
男は説明を受けた。この街には定期的にギャングが訪れ、食糧や金品諸々をかっぱらっていくこと。その日が丁度明後日であること。そして既にそれらも底を尽き、代償に恐らく皆殺しにされるであろうこと。
「そんでまあ、最後の晩餐の真っ最中って訳だ。ちょいと遅かったな、ヒーロー」
「・・・このままやられる気なのか」
「生憎とろくな武器もないし、そもそも人が足りない。外に出ようにも行くところもないしな。ここで死ぬさ」
「ま、それは案外どうでも良いんだが。もしも俺が連中を撃退できたなら、いくつか欲しいものがある。簡単に手に入れられそうで、そうでもない奴だ」
「なんだ、珍しいな。『金も名声もいらない』っていうお決まりのパターンか」
「まさか。そんな虫の良い人間じゃない」
「じゃあなんだ」
「名声と名誉さ」
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