「毛のヤツ」がたくましくて困ってます

このめだい

序章

【この物語は毛の精霊を加護に持つ主人公が、つるつるすべすべの肌を目指す苦労の物語である】







 わたしの名前は宿毛麗花すくもれいか、明瞭高校の一年生だ。

 青春あおはる真っ盛りのわたしは、オシャレを楽しんだりメイクをしたり、見た目には重々気を使っているつもりだ。



 だがしかし!

 わたしには或る問題があった。


 宿毛すくもの家には、一定の確率で毛の精霊の加護を持つ子どもが生まれてくるのだけど、私も例外ではない。

 毛深く剛毛で生えてくる場所や量を問わない体毛の元凶は、この毛の精霊によるいらない加護のせいだった。


 毛根を拡大したような顔には、張り付いたような笑顔と白い歯が覗いている。

 キラキラした瞳に、マッチョで黒光りする体で「HA-HAHA」とポージングをとる物体こそ、毛の精霊である毛賀コスギ……またの名を『毛のヤツ』と言う。


「HAHAHA! 麗花今日も張り切ってやっていこうぜ!」


 ムキムキと筋肉を強調したポージングをとる度に、さっき剃ったばかりの毛がチクチクと生えてくるではないか。


「ちょっ! やめてーーーーーーーー!!」


 慣れた手つきでもう一度生えてきた毛を剃り始めると、負けじと毛のヤツもポージングを決めてきた。

「HA-HA-HA」


「消えろ! 消えろ!」

 近くでポージングする毛のヤツを思いっきり睨むが気にする気配はない。



 わたしの毛のヤツとの戦いは続く。

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「毛のヤツ」がたくましくて困ってます このめだい @okadatomi

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