第4話 母親の部屋


赤子とテディでは、ドアノブが高く開けられそうになかったので、俺が変わりに扉を開け、中を見てみた。

母親の部屋というにはあまりにも雑然とした部屋であった。



服は畳んでおらず、そこらかしこに床に散らばり、机の上に置かれた灰皿には最近まで吸っていた跡があった。

見ず知らずの家庭の事情などどうでもいいが、あまりにもこれはおかしいと感じる。



そうえばと母親と誰かが玄関先で言い争っていたことを思い出し、俺はもう一度赤子の方を見た。

すでにトコトコと足早に母親を求める赤子の背中を見て、俺は得も言われぬ感情を覚えた。




「ワーオ…かなり散らかっているね。それに、ここにはいないみたい。




…あれ?あそこにあるのって、なにかな。」





テディが見つめている先を見ると、なにかがキラリと光っている。

おぼつかない足取りで赤子がそれを取り、なにかを思い出したように、顔には寂しさが浮かんでいた。




赤子が手に取ったそれを見てみると、母親が首につけていたネックレスがあった。

琥珀色の、綺麗な宝石がついてあった。




「これは、お母さんのだね。どうしてここにあるんだろう?大切なもののはずだけど…」




テディが疑問を浮かべている最中、赤子がテディを抱え、もう一つの扉の方へ走っていった。

思わず俺も走り出し、追いかけた先には地下室への入口にまで辿り着いていた。





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