閑話休題「前期期末テスト」
「っぐ……ぐわぁぁ……」
「どうしたの? そんなに点数低かった?」
テラスでの勉強会から2週間後、期末試験の本番も終わり、全ての科目が一気に返却された。そんな日の放課後、生徒会も臨時休暇を設けているらしく、せっかくなら二人で復習しようと俺は六花の家に招かれていた。
久々に来た彼女の家。
前回はただ、挨拶のために招かれた形だったが今回はお互いの事情で遊びに来たような形である。
しかし、だからと言って勝負に出るわけにもいかずに俺は帰ってきたテスト用紙を見つめながらテーブルに突っ伏した。
「低かったぁ……」
「へぇ……どれよ、見せて」
「はいっ」
テスト用紙を渡し、六花がどれどれとそれを眺める。
俺は彼女が置いておいてくれたお茶を啜りながら、その姿を見つめる。
「ふぅん……別に悪くはないじゃない」
「いやぁ、もうちょっといくと思ってたんだけどな」
「でもこの点数なら40位はいくわよ?」
「40位じゃ、足りないじゃん。せっかく六花に教えてもらったのに」
「別に私に教わったからって高くなるわけじゃないでしょ」
「……申し訳ないじゃん」
ぐぬぬ……と見つめる。
すると、彼女は表情をすぐに変えてクスッと笑いだした。
「——何? 私がそんなんで怒るような人に見えるわけ?」
「……」
「何で黙るのよ」
「別にそうは思ってないけど……こう、あんな面白い文化祭を作ってくれた生徒会長の彼氏がこんなんだとは世も末だなぁって」
「別に学力なんて受験までに備えればいいんだから、たった一回ので落ち込まないの」
「まぁ……それはそうだけど」
「それに、今回は私も1位じゃなかったし」
「え、そうなの?」
「ほら」
そう言うと、彼女は俺の手にテストの返却用の容姿を渡した。
「え……3位?」
「うん。ちょっと今回の数学は予想外だったわ」
「あぁ……確かに、それは分かる」
「でしょ!? あの先生、ちょっとずるい。あんなちょっとしか言ってないところ出すなんてね……今言ったって遅いけど」
「そうだな……ってどうして六花は順位表持ってるんだよ?」
「もらった」
「え?」
「生徒会長特権だって、何かよく分からないけど」
「……それ、もらっていいのかよ。30位までのせいと名前、全部書かれてるぞ」
「……ま、ま、まぁ——いいのよ」
おい、ちょっと。この生徒会長、最後流しやがったぞ。
「ほら、それは良しとして今日はあれでしょ? せっかく終わったんだから色々と予定を立てるんじゃなくて?」
「予定?」
「そう、夏休みがもうすぐだって覚えてなかった?」
「あ、確かに。んじゃ、やるかっ」
「えぇ」
そうして、もらってはいけないであろう順位表をテーブルに置き、俺と六花は夏休みに向けた計画を具体的に進めていくのであった。
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