第4話
「おいそこ! あと1分だぞ」
校門に立っていた男性に言われる。周りには誰もいないためかよりいっそう不安にさせる声だった。
ギリギリか。まぁ大丈夫だな。
しかし遅刻した訳ではない。俺の目的はぎりぎりに到着することなのだから。
そう心に言い聞かせ校門を走り、教室に向かった。
「はい、ぎりぎりセーフ」
教室についた俺は真っ先に席に座るとチャイムがなった。
息をきらしながらもギリギリに到着したため
周りからの視線が感じられるが気にはならない。
まぁ今は自分のことじゃなく転校生ことしか頭にはないけど。
あ、楓は遅刻したんかな?
そう思うと楓の席に視線を向けた。向けるとそこには息をきらしてもいない楓が見える。
まじか。あそこから走って余裕かよ……。
遅刻しそうな時、俺に合わせてくれていたのか……。
少し女子に合わされていたことにショックを受けながら、本を読むフリを続けた。
◇
「それじゃあ。みんなに言っていた転校生の紹介ね」
先生の声が教室に響く。
みんなも理解しているのだろう。周りも落ち着いた様子だ。
俺からしたら、転校生の期待と言うより気になることが多すぎる。ってか期待も何も転校生と今朝あったからな。
「さぁ、出てきていいですよ」
そう言うと転校生が出てきた。
転校生の姿は先ほどより落ち着いた様子である。しかしその一方で周りはにぎやかになっていた。
その声の一部には『美人』という声が目立った。
それもそうだ。
高い鼻に白い肌、さらさらした髪。誰からも美人と言うだろう。
ほんと今考えてもありえない。お嬢様が俺を気に入る理由。
あれからいくら考えてもやはり俺には腑に落ちない。
「それではお名前をお願いします」
「はい。わかりました」
「葉月美麗です。よろしくお願いします」
そう言うと拍手が鳴り響く。
「それじゃあ。質問ある人はいますか?」
そう言うと大勢の人が手を上げ盛り上がりながらホームルームがすぎた。
「おーい」
楓が俺の席に向かって歩いてくる。
「ん? なんだ楓?」
「いや朝は間に合った?」
「いや見たらわかるでしょ。ギリギリすぎたよ」
「うーんそうだね。私の方が普通なら遅くつくはずなのにね!?」
「……うるさいな。そこそこ心に響くぞ。その言葉!」
そう他愛もない話が続く。
いつも通りの朝であり、いつも通りの会話だ。ホントは他にもよく話すメンバーがいるんだが、転校生を見にいっているためいない。
そう思ってると足音が聞こえてきた。
振り返ると──
葉月美麗が姿を見せた。
「少しいいかな?」
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