バタフライエフェクトを予知する僕はいつも危機を回避する
絶佳(ぜっか)
第1話 バタフライエフェクトと僕
バタフライエフェクトをご存知だろうか。地球の裏側で羽ばたいた蝶の羽起こした風が、いつかこちら側で大きな台風となって襲ってくるようなこと。つまり、日常でした小さな行動が、いつか大きな結果となって帰ってくるという現象。これをバタフライエフェクトと呼ぶ。風が吹けば桶屋が儲かるというのもこれに当てはまる。風が吹けば土埃が立って、目が悪くなる人が増加する。昔目が見えないひとは三味線でお金を稼いだため、三味線の需要が増える。三味線製造に猫の皮が必要なため、猫がたくさん狩られて猫が減り、その獲物である鼠が増加する。鼠は桶をかじることから、桶の需要も増加して桶屋が儲かる。こういった連鎖、または予期せぬ大きな結果をもたらすことがバタフライエフェクトである。
なぜこんな話をするかと言うと、僕がバタフライエフェクトの結果が見えるという能力を持っているからだ。道で空き缶を落としてしまった際に、それを拾わないと交通事故が起きるというビジョンが見えたのが始まりである。中学時代のことだった。その後、幾度となくこのようなビジョンを見ては危機を回避してきたわけである。単純に疲れる。そもそも、僕はもともと危機にあう運命にありすぎる。僕に特殊な能力がなかったら、僕の周りではいつも事件が起きているだろう。それとも、僕に能力があるからこそ事件が起きる可能性が高いのだろうか。どちらが先かは分からないが、まあとにかく、僕はバタフライエフェクトの結果が見え、それを阻止し続けなければならない。
さっきだってそうだ。友達が彼女と行くなら水族館か動物園かという相談をしてきたので、水族館だと言ったら、水族館に向かう途中で友人カップルが事故に遭うビジョンが見えた。僕は慌てて動物園に行くように説得したわけである。
基本的にはその行動を直ぐに変更すれば直ぐに解決出来ることだからいいが、例えばここで友達が絶対に水族館に行くことにした!と言い出したら大変なわけだ。こんな事態になることもそこそこある。
以前、僕の彼女から電話がかかってきた時、僕は風邪をひいていた。そこで、彼女は看病に来てくれると言った。その時に、彼女が僕の家に向かう途中に通り魔に襲われるビジョンが見えたのだ。彼女に家に来ないように説得したが、看病すると言って聞かなかった。なので僕は彼女の居場所を聞いて、体調が悪い中僕から彼女のもとに向かうことで未来を変えた。
僕はなんでこんな不幸なんだろうか。もしかすると僕の能力のせいで、僕の周りの人が危険な目にあっているのかもしれない(今のところすべての危機を回避しているので、実際には危険な目にはあっていないが)。
僕は今日も危機を回避する。それが僕の日常である。
バタフライエフェクトを予知する僕はいつも危機を回避する 絶佳(ぜっか) @Zekka27
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