31●“素”のヒルダの魅力……冠を切り落とした意味
31●“素”のヒルダの魅力……冠を切り落とした意味
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ちょっと横道に逸れますが……
こうした環状の冠…サークレットと呼ばれるものの一種でしょう…は、ヒルダにとって、どのような意味があるのでしょうか。
似たようなものは、作品中では、花嫁ピリアの頭に載せられた花輪の冠がありますね。彼女が祝福された新婦であることを示すしるしです。
そのほかには、一般に、オリンピックなどスポーツ競技の勝者に贈られるオリーブや月桂樹の葉の冠がありますね。讃えられるべき勝者を示します。また、キリストの頭に載せられた茨の冠もありますね。今は宗教的聖遺物としての意味合いが加わっていますが、もともと罪人のしるしです。
このように冠は、本人の社会的地位や評価を示すシンボルとして用いられますね。
ヒルダの
「教えてあげる、あたしの本当の姿を!」というヒルダのセリフ、まさに、そのままですね。
で、
つまりこのときのチロの叫びは、同時にヒルダの心の叫びでもあるわけです。
悪魔の側のトトと人間の側のチロに引き裂かれたヒルダの心情を、彼女の口からではなく、チロの言葉として吐露させている、見事な演出だと思います。
にしても、この時のヒルダ、魅力的ですね。
トトに誘導されて、戦意の無いホルスに刃を振り下ろす、おどろおどろしく残酷なヒルダ。
その一方で、チロの言葉を心から受け止めるヒルダが、儚くも可愛いげで……。
自分の善悪の両面をさらけ出した、“素のヒルダ”を見ることができる、貴重なショットだと思います。
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「教えてあげる、あたしの本当の姿を!」(RAE40-41頁)と、ヒルダは
……ということは、
それは、“偽りの姿”。
そこで、ラストシーン、ホルスと手を繋いで駆けていくヒルダを見れば、
彼女が魔法力を完全に放棄して真人間になっていたならば、“偽りの姿”を意味する冠は不要なので、ヒルダの頭から消滅していた方が理屈に合うような……
やや、こじつけかもしれませんが、ヒルダの頭部に冠が残ったことは、ラストシーンに至っても、いまだにヒルダの魔力は残っていて、それを隠すために……つまり、魔力のオーラを抑えておくリミッターとして……
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