【2回戦-1】

2回戦

対徳治大学戦オーダー

1 大谷(一)

2 高岩(一)

3 中野田(三)

4 佐谷(三)

5 会田(二)

6 鍵山(二)

7 バルボーザ(一)



「ようこそ、中野田様」

 蓮真はおどけながら、手を差し出してみせた。

「おう、待たせたな」

 中野田が真面目に答えたので、部員たちは思わず吹き出してしまった。

 2回戦開始前に、中野田達3人は会場に到着した。

「ご、ごめんなさい」

 福原がぴょこぴょこと頭を下げる。

「いやいや、しょうがないよ。ひどい雨だったよね」

 安藤はそう言いながら、到着したメンバーにオーダー表を見せた。

「おっ、菊野出たのか」

 中野田はオーダー表を覗き込み、結果を確認する。

「は、はいっ」

「次は高岩か。頼んだぞ」

「は、はいっ」

「ははは」

「会田君も準備大丈夫?」

「はい。バスの中でも指してました」

「心強い」

 安藤は、内心ほっとしていた。1回戦は自分も指すことになったが、勝ったもののどっと疲れた。自分は監督兼選手がこなせるほどタフではない、と実感した。

 ただ、成績は幸いにも6勝1敗。そのうえで相手を惑わせるオーダーを組むことができた。予定外の作戦だったが、意義はある。

 2回戦は、四将の蓮真以外すべて1回戦とは名前が変わっている。3回戦以降の相手はかなり県立大学のオーダーが読みにくくなるだろう。北陽が来るかどうかも考えてくれるはずだ。ちなみに部員にもそれはわからないのだが。

「星川君、わかってるね」

「えっ?」

「3戦目も北陽先輩が来なかったら、君の出番だ」

「マジですかー!」

 マジもマジ、本気だった。この大会は本当に14人で戦う、安藤はそう決めたのである。



 中野田は着席する前に、腕をぐるぐると回した。

 春大会以来の団体戦だった。その間に皆は夏の全国大会に行き、県内交流戦に行った。自分だけが、半年間部の戦いに参加しなかった。しかも、アクシデントで1回戦に出られなかった。正直ここに来るまでもバタバタして、まだ心は落ち着いていない。

 右隣には、蓮真がいる。三年間、ずっと一緒に戦ってきた。ライバルであり、仲間である。いつも落ち着いていて、強豪にもひるむことがなく、鍵山といい感じだ。中野田は何度も嫉妬してきた。

 蓮真がいなければ、ここまで頑張れなかった。中野田にもそれはわかっている。蓮真より強くなりたいし、モテたい。そういう思いが、彼に努力を指せたのである。

 夏の大会は出られなかった。しかし冬こそ、また全国の舞台で活躍したい。中野田は強い思いを込めながら、駒を並べた。

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