【県内交流戦-3】
4回戦
県立大学0-5消防団将棋同好会
1 菊野(二)×
2 星川(一)×
3 高岩(一)×
4 猪野塚(二)×
5 閘(一)×
ついに猪野塚も負けた。屈辱の完封負け、そしてチームは1勝3敗で最終戦を迎えることとなった。
「次、広山です」
「あー」
星川の報告に、猪野塚は重たい声で応えた。
最終戦の相手は広山商業大学将棋部だった。同じ地区リーグに所属するが、現在はA級とB級なので大会で当たることはない。相手にしてみれば、A級1位の県立大学は「名前的に」倒しておきたいところだろう。
相手もエースは出場していなかった。菊野は大会でノートをとっていたので、B級といえども全員の顔を知っていた。得意戦法などを思い出す。
着席すると、菊野は後頭部を何回か叩いた。全国大会でとある強豪がしているのを見て、何か意味があるような気がして真似をし始めたのである。
ここまで一勝もしていない。大学内で弱いというだけでなく、将棋を指している人々の中でも弱いのだということを菊野は実感させられていた。
菊野は、飛車先を二つ突いた。相手がゴキゲン中飛車を使うことを知っていたからである。戦型は、相手のノーマル中飛車になった。
得意戦法を封じたものの、経験の少ない形になってしまった。ただ、こんな形相手に会田が指しているのを見たことがある。思い出しながら、駒組を進めていった。相手が、持ち時間を多めに使う。
気が付いたら、優勢になっていた。「会田君ありがとう」と菊野は心の中で呟いた。
危ないところはあったものの、できるだけ切り合いにならないように心掛け、何とか菊野は勝ち切った。どっと疲れが押し寄せ、全身から力が抜けていった。
「信介ちゃんとろけてる」
「あ、猪野塚君は?」
「勝ったよ。ゆのちゃんも」
「じゃあ」
「チームも勝ち。おめでと、リーダー」
さらに菊野の体から力が抜けた。こうして、県内交流戦は幕を閉じたのであった。
5回戦
県立大学3-2広山商業大学
1 菊野(二)〇
2 星川(一)×
3 高岩(一)〇
4 猪野塚(二)〇
5 閘(一)×
最終成績(22チーム中)
15位 県立大学(チーム2勝3敗 総合8勝17敗)
個人成績
菊野(二)1勝4敗
星川(一)0勝5敗
高岩(一)2勝3敗
猪野塚(二)4勝1敗
閘(一)1勝4敗(1不戦勝)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます