第4話 お風呂でのお世話をさせてくださいませ! ご主人様♡②
ボクはボーッと彼女を見ていた。
「もう…今日の彰様は変ですよ…。私を見ながら、ボーッとされていても何も良いことはありませんよ」
「あ、うん…そうだね…」
その瞬間、覗き込む彼女とボクの視線が交わった。
ボクは「あ…」と一言だけ漏らして、すぐに視線を逸らした。
彼女も何とも言えない表情をしている。
な、何なんだろう…。すごくドキドキした。
彗さんもボクと目線を合わせずにいる。
あれ? 恥ずかしがっている?
彼女の耳が赤く染まっている。
「ぼ、ボク、身体を流すね」
「あ、いえ、私がお流しますので!」
ボクがシャワーを取ろうとしたところ、彼女も同時に動いた。
彼女がボクに覆いかぶさるように手を伸ばしてしまい、体勢が崩れた。
そのままボクらは浴室の床に倒れてしまう。
「痛たたた…」
ボクが起き上がろうとしても起き上がれなかった。
何ががボクに覆いかぶさっている。
ボクの胸のあたりで呻く声が聞こえる…。
そして、お腹辺りにはマシュマロのような柔らかさを感じる。
こ、これは…!?
ボクは恐る恐る目線を下に移す。
そこにはボクに覆いかぶさるように彗さんが倒れ込んでいた。
しかも、ぶつかったときに当たり所が悪かったのか、意識がうっすらとしかないようだ。
「彗さん!? 大丈夫!?」
「…うう……」
ああ、もぞもぞと動かないで…。
マシュマロおっぱいがボクの身体に擦り付けられる!
て、何でこんなにリアルに肌が擦れている感じがするの!?
ボクは確認のためにしっかりと見てみると、彼女が撒いていたタオルはボクの手にある…。
「な、何で!? どうやったらボクの手に彼女のタオルがあるの!?」
さすがにマズい!
ボクだって健全な男なんだから、こんなエッチなシチュエーションに出会えば、下半身が熱っぽくなってしまう!
「あ、痛たたたた…。すみません、彰様…」
彼女は頭をさすりながら、身を起こそうとする。
いや、ちょっと待って!?
今、身を起こされると、その色々と見えちゃうだろーが!
「ああっ!? 申し訳ありません! 私としたことが、彰様に覆いかぶさるように倒れ込むなんて…!? お怪我はありませんでしたか!?」
あーっ!
彼女がボクを心配するたびに、Iカップの生乳がボクの目の前でタユンタユンしてるーっ!
こ、こんなの理性も何もないだろーが!
恋人同士ならどうするんだろう…!?
ボクが読んでいるエッチな本では、吸い付いているけれど、さすがにそれはマズいだろ!?
ボクは視線を逸らしつつ、
「だ、大丈夫だよ! ゴメンね! ボクが引っかかっちゃったあまりに…」
「いいえ、私がボーッとしていたのがいけないのです!」
「そ、それよりも、タオルを巻いてくれるかな!?」
「え………?」
そこで彼女ははたと自分の状況を改めて冷静に確認する。
タオルはボクの右手に握られており、自分がIカップの胸も露わになっているその姿に。
これを時間差というのだろうか…。
ボクはその時間差というものをはっきりと目で見ることが出来た。
彼女の白い肌が真っ赤に染まっていき、瞳が潤み始める。
悲鳴こそ上げなかったものの、彼女は十分すぎる以上の辱めにあったような表情だ。
ボクからタオルを受け取り、巻きなおす彼女の瞳からは、涙が溢れていた。
ボク自身が悪いことをしてしまったようなそんな気持ちになってしまった。
「少し落ち着くまで、先に温もっていてもいいよ」
「あ、いえ…ここで結構です。ここでも結構ですので、少し落ち着くまで泣いてもいいでしょうか…」
「本来、そう言うのって
「ですが、私が育った場所では使用人が主の前で泣くことは許されざる行為でした」
「そうなんだ…。ボクの前では別に構わないよ。彗さんもボクと同級生なんだし、気持ちで泣きたくなる時もあるでしょ?」
「それではお言葉に甘えさせていただきます…」
彗さんは何も音を立てず、ボクに邪魔になる音ないように泣いていた。
ボクは自分でシャワーを浴び、そのままお湯の張られた湯船につかる。
温かくて身体の芯にまで熱量が伝わってくる。
「君も身体を洗ってお風呂につかりなよ…。疲れが飛ぶような気になれる」
「…いえ…私は彰様が出られてから…」
「でも、それだと昼食がもっと遅くなっちゃうじゃない。じゃあ、これはボクからの命令。今は一緒に入って出よう? いいね?」
「…………」
ボクの提案に、無言で彼女は頷く。
ボクは彼女が身体を洗っている間は、彼女の逆方向を見て、話しかける。
「もしかして、使用人としてお風呂に入るの初めて?」
「あ…はい…。実はあんなに強がっていましたが、初めてです」
「やっぱり、そうだったんだね…」
しばしの沈黙。
ボクの身体はかなりポカポカになってきた。
「どうして、気づかれたのですか?」
「うーん。最初からかな…」
「え……? 一緒に浴室に入ってからですか?」
「ううん。もっと前。お風呂が入ったと君がボクに声を掛けたところで、少し違和感を持った」
「そう、なんですか…」
「うん、そう」
ボクは少し落ち着いたところで、
「彗さんがバスタオルを巻いて呼びに来た時に、少し身体を脱衣所に隠すようにしていたでしょ?」
「あ、はい…そうでしたね…」
「あれで少し違和感を持った…。もしかして、恥ずかしがってるのかな…って」
「そんなところからですか…」
「あ、あと、ゴメンね…。君の裸を見ちゃって……」
ちょうど彼女はシャワーを終えた。
タオルで前を隠しつつ、湯船に近づいてくる。
嫌な予感しかない。
だって、彼女はすごくいやらしく微笑んでいるんだから…。
「その件については、これから一緒にお風呂につかりながら、お話しませんか?」
「え…? 一緒に?」
「先ほど、おっしゃいましたよね。彰様のご命令で、ご一緒にお風呂に入る、と」
う…確かに言ってたな…。
そういう意味ではなかったんだけれど、彼女にとってはそういう意味の解釈をすることもできるのか…!?
「では、彰様、失礼いたしますね…」
ねっとりとしたいやらしい口調でそう言うと、彼女はボクがつかっている反対側に入り、お湯につかる。
このマンションは3LDKの部屋ばかりで、家族向けにも売り出されているため、湯船もそれなりに大きく、大人二人が少し窮屈ではあるかもしれないが、一緒に湯船につかることはできる。
お湯は溢れたが、彗さんはボクに対してエロエロシチュエーションを提供できてご満悦で、さっきの涙はどこに行ったのかと言いたくなるくらい笑顔であった。
その笑顔から目線を下に移すと、ぽっかりと彼女のIカップがお湯に浮かぶような状態になっている。
タオルをかぶせているといっても、そのシルエットはガッチリと見えるし、ボクの目と鼻の先の距離に彼女の武器が無防備にボクに向けられている。
ボクもタオルを腰にかぶせるようにしているので、ボクの愛棒の様子を知られることはない。
「彰様は私のこの胸とよく太ももを見られていますが、お好きなんですか…?」
「主にその質問はセクハラに当たるんじゃないの?」
「それを言うならば、こそっと見ている彰様の視線はなかなかのセクハラ具合だと思いますよ」
「う……。」
なんともよく気づいているなぁ…。
でも、それって彼女が見せつけるようにしてきたから…。
ボクはそれに屈してしまったというか…。
「そ、それは、彗さんが魅力的だから……」
「え……」
ボクはそこまで行って気づいた。
今まで女の子を魅力的と思いながら、見つめていたことはなかった。
そして、今、目の前で恥じらっている彼女は魅力的な女性として見ている…。
彼女はボクの前で、「うふふ」と微笑んで、
「いい感じですね。彰様…。私を少しでも女性として見て頂けているんですね」
「う、うん…。そのようだね…」
「私のひとつひとつの行為が実ったって感じですね」
「やっぱり、全部のエロシチュエーションはわざとやってんのかー!」
「まあ、そう怒らないでください。私としても、何としても旦那様がおっしゃった伴侶を見つけなくてはいけませんから。私としてはまずは女性に慣れていただくという部分ではしっかりとお手伝いをさせていただきます!」
「う、うん…。ありがとう…。でも、程々にしてね」
「あの、どうしてですか?」
「ボクだって、男なんだから…ね」
「あの、それって…。やりすぎると、私が押し倒されちゃったりという展開が…」
「それはない!」
「ええ!? ちょっとはあり得るんじゃないんですか!? ほら、確率論という部分でも!」
「いや、起こりそうになったら、舌噛んで死ぬ準備する!」
「ええ!? そこまで!? 私ってそんなに魅力がないですか!?」
ええ!? そう返してくる!?
「違うよ! ちょっと彗さんの身体がエッチだから、困ってるの!」
「あ、あはは…。ご、ごめんなさい…。そ、そうですよね。あんなにエロシチュエーションをしてたら……」
「だ、だから、そうじゃなくて、彗さん自身が魅力的過ぎるから、そういうシチュエーションをされちゃうと、ちょっとその、男として困るというか…」
「あ~、そういうことですね…」
ゴクリ。
いつも思う。
彼女のいやらしく目を細めて微笑むその姿はサキュバスか何かかと…。
艶めかしいその唇。少し紅潮した頬。
「彰様にそんなに魅力的と言っていただけると、私もとても嬉しいです」
彼女が少し腰を浮かせようとする。
え、何―――!?
「そんなに私のことを魅力的に思っていただけるのであれば…、私の身体を少しは味わってみますか?」
え―――――――――!?
この人、何言ってるの!?
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作品をお読みいただきありがとうございます!
少しでもいいな、続きが読みたいな、と思っていただけたなら、ブクマよろしくお願いいたします。
評価もお待ちしております。
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