beautiful city
月は落ちてこない。
みんな信じている。
延々と太陽と月は回る。
我々は生命。
弱くて、小さい。
ただの現象を神話として崇める。
神様はヒトダ。
ヒトヲ崇めるな。
弱い。
天国も弱い。
求める。天国を。
私はもっと弱い。
夕焼け小焼けの町。
『beautiful city』
上海蟹が歩く。
花火が打ち上がる。
大工が釘を打つ。
木や鉄が移動する。
永遠に完成しない城を建設するヒト。
色々な肌。
言語。
Kは鎖を重そうに引きずる。左足首にかかる。
果物をおばあさんに頂く。
赤いリンゴ。
おばあさんはKをみる。
涙を流す。
「何故泣くのか」
Kは質問をする。
疑問である。
おばあさんは口を開く。
「貴方はここにはいられない」
Kは烏。
烏がヒトトなり、歩く。
うろちょろ。
「貴方は飛べない」
片翼がない。
赤ん坊のころ、父親にもがれる。
「罰。さまざまな存在の罰が貴方に記されている」
片目がない。
じふんでもぐ。
心臓に釘が刺す。
じぶんでさす。
痛ましいのは誰の責任か。
「私は貴方に施す。神の子だから」
Kは神の子か。
否。
Kは神話ではない。
現実である。
おばあさんから去る。
Kは勘違いされる。
Kは自分がわからない。
わかる気はない。
祭り。
何を祝うのか。
看板がある。
月。
月を愛する。
夜が来る。
月は雲に隠されて見えない。
ヒトは代わりに花火を打ち明げる。
『beautiful city』
美しいことは結構。
笑いなさい。
愛し合いなさい。
Kに宗教はない。
生命がある。
路商が繁盛する道。
Kは買い物をしない。
金がない。
賑わう。
良いことだ。
一人の路商が声をかける。
「私の商売、見てください」
Kはみる。
何もない。
路商は胡散臭く笑う。
「何もないと思ったでしょう」
Kは首を縦に振る。
路商は笑みを深める。
うざい。
「貴方は私のトリックにかかります。私は貴方とこれから何度も出逢います。予言ではありません。事実です。こんにちは。さようなら。また明日」
Kは歩む。
路商の言葉を頭で繰り返す。
本当ならば、ろくでもない。
絆。
Kは必要ない。
『beautiful city』
美しいのは結構。
何もない。
さようなら。
天国への階段はない。
町をあっためるヒトは此処では仕事をしながら死ぬ。
感慨もない。
ただ死ぬ。
生命を愛そうとするヒトは通り過ぎる町。
さようなら。
Kは通り過ぎる。
祭りの灯り。
祭りの音。
郷愁を誘う。
ヒトへ。
Kは呟く。
「幸せに。深く。愛しなさい。こんにちは。さようなら。また明日」
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