第95話 順調なのかな

 今日も今日とて平和なお店。その証拠にカウルの磨きが大方終了してしまいました。やっぱりフェンダーも外そう。仕上げのコーティングは組んでからだな。


 時計の針は16時を回り駐車場を照らす陽もだいぶ傾き影が伸びてきた。お客さんは14時前には掃けていたので黙々と二時間も磨いていた訳だ。(暇人)


 今朝は少し早起きだった。昨夜余計な事に手を出してしまった故に出来なかった漏れ確認を開店前にしておきたかったからだ。


 水に浸けても朝一から一日干しておけば夜には乾くだろう。幸いなことに亀裂は塞がってくれたようで予定通り作業を進められそうだ。


 今日の目標はタンクの取り付け。取り付け作業自体は至って簡単なので問題ないのだが面倒なのがオイルポンプのエア抜き。小屋ガレージにはホースプラグもあったので使わせてもらってるけど一度オイルを抜いてしまっているのでこれは外せない作業だ。面倒だからとサボって焼き付いたら目も当てられない。


 これは部品を交換するわけでもなく只管手間だけの作業だからやる気さえあれば誰でもできる。ならやらないという選択肢はありません。


 ここまで終われば当初の目的は無事達成となるんだけど実は余計な作業も企んでいて、それには部品が必要なので発注済だったりする。今日、帰ったら届いてるかな。だからこれは明日のお楽しみだな。ちゃんと木島さんには了承してもらってます。


 今日も早仕舞で小屋に籠ろうかと不埒なことを考えているとお客様来店。好きな事ばっかりやってられないぞとの神のお告げか。いや喫茶店の仕事もかなり好きな事なのんで何も問題はありませんが。


 結局この日の閉店は20時前。それでも通常の営業時間より一時間早く店を閉められた。


 店の片付けと戸締りを確認したら小屋へ直行。タンクが乾いてることを確認したらサクサクと組んでいきたいところだけどその前にやることが一つ。


 余計な整備その一、バッテリーのMF化である。


 ウィンカーがちょっとハイフラ気味だったのでバッテリーが終わってるんじゃないかと思って計ったらやっぱりご臨終です。始動がキックのバイクはバッテリーがダメになっても意外とエンジンかかります。コイツもその状態でした。


 どうせバッテリーを交換するなら密閉式のメンテフリーに変えようかと思ったら問題がありました。単純にバッテリーを変えることもできるんですがKSRこの子はちょっと問題児でして、回転数を上げるとレギュレターが18Vくらいバッテリーに送ってしまうというとてもワイルドな特性を持っていたりするようです。


 つまりこのままMFバッテリーに交換するとすぐにパンクしてしまいます。まあ従来の開放型でもあまり歓迎できない状況なんです。そこでメーカーから出ている純正の対策部品に交換する必要があるようです。


 これってリコールじゃないんかい?ユーザーに買わせるのは間違ってる気がするのは俺だけなのだろうか。


 まあこいつは経年劣化で既に10V以下の数字しか出てないんですがそれはそれで問題だったりします。


 仕方がないのでレギュレターを交換するんですがコイツがオイルタンクの裏側に隠れてたりするんでタンクを戻す前にやっつけてしまおうという訳です。


 作業自体は至って簡単。古い部品を外して入れ替えるだけなんだけど対策部品は全く形状が違うので元の場所には収まらない。ではどうするかというと隣に固定されているホーンと供挟みで固定するという荒業で乗り越えます。(メーカー指示)


 うん強引。さすが漢カワサキ。


 元の固定ボルトにアース線を接続してバッテリーの+ラインにケーブルを割り込ませれば終了です。


 ここまでやってようやくタンクの取り付けです。


 ああ、その前にもう一つあった。


 タンク後方に刺さっていた黒い筒状の部品のハマる穴が少々ガバッていたので部品側に配管用のシールーテープを巻いて隙間ができないように調整する。多分、オイル残量のセンサーなんだろうけど振動で擦れて痩せちゃったのかな。


 外すときに余りにアッサリと外れたのでこれはいかんと自宅にあったシールテープを持ってきました。本来はネジを切った部品を繋ぐときに使うものだけど水が漏れなきゃオイルも大丈夫だろうと採用しました。一応耐油性能もあるみたいだしイケるでしょ。


 さあ今度こそタンクを戻すぞ。


 これって順調……なんだよね?


 

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