第60話 雨の月曜

 家に帰って風呂に入ったら密林で早速小物を探してみる。


 首にかけたタオルで頭を拭きながらPCの前に陣取ってキーを叩く。スマホでも探せるけど買い物はPC派です。画面が大きいPCの方が探すには便利。その分衝動買いが増えてしまうのだが。


 おお、あるある。容量の違いで金額に差があるみたいだけど二百円以下でもある。蓋が付いたり多孔式になったりするとちょっと高くなる。店にあるのは300mlくらいの奴かな。入れっぱなしにはしたくないから小さい方が良いだろう。


 ホットドッグの包装紙も同様。材質に多少の差があるようだけど気にするほどではなさそうで精々色を白にするか茶色にするかといったところだ。


 個包装の調味料は予想通り単価が倍だ。あの二つ折りにして絞り出す奴は『パキッテ』という名前らしい。よく考えたらマスタード使わない人もいるから昔ながらの安い方が使い勝手がいいのかもしれない。


 そういえばこんなのなら百均にあるよな?明日は早仕舞いして買い出しに行くのも有りだな。何なら明日の様子で明後日休んでみるかな。密林さんなら大抵は翌日に届く。費用は当然経費で精算してくれるのだが当面の経費を抑えるのは悪い事じゃない。百均の品物見てからでも週末には間に合うだろう。


 サラリーマンからすれば自営業というのは好きな時に休めるイメージなんだろうけど、その裏返しとして何か理由きっかけがなければ際限なく働いてしまったりすることもある。特に趣味を仕事にしてしまったような人はその典型だろう。何事でも休みは必要となるのだ。


 その点だけを見れば労働条件が勤務規定で定まっていて無茶を押し付ければ公的機関に訴える事も出来るサラリーマンも悪くはないのかもしれない。それに比べて自営って良くも悪くも自己責任だから。


 自営だからこそ自衛しましょう。なんちって。知らんけど。


 しかしこの二日間は中々厳しかった。


「どうか明日はいつもの店に戻りますように」とか罰の当たりそうな事を願いながら布団にもぐったらすぐに睡魔に取り込まれました。





 明けて月曜。外を見ると鈍色の空から細かい霧雨が降っていた。道路は黒く湿っており所々に小さな水溜りも見える。夜はもう少し強めに振っていたようだ。


 変なお願いして寝たからそのお願いが叶ったのかな?


 今日は平日だし天気が良くても週末の様な有様にはならなかっただろうが、雨が降れば確実にバイクの客は来ないな。良し良し、今日はいつもの開店休業状態確定だ。


 そのつもりでゆっくりと朝飯を食べて出かける準備をする。雨降りなので今日もチョロQの出番だ。


 実はこいつも雨とはあんまり相性が良くなかった。エンジンが愚図る訳じゃないけど雨漏りが酷かったんだよ。古いオープンカーあるあるだよね。


 幌は縮んでるしウェザーストリップも硬くなって柔軟性が落ちてたから隙間ができやすくなってました。


 結論として交換するしかないんだけどこれがまた大変だった。幌をフレームに固定してるビス穴が水が回ったのか半分腐ってました。お陰でタップ立ててネジ山切り直したりの余計な作業に時間を取られてえらい苦労したのも今ではいい思い出です。


 嘘つきました、すいません。もう二度とやりたくありません。


 でもそんな苦労の甲斐もあり雨漏りも大分(全部じゃないのが悲しい)改善し、気が付くとシートがビチャビチャなんて事がなくなりましたよ。


 一番良かったのは一緒に変えたリアスクリーンが透明になって後ろが見えるようになった事。これだけでも早くやればよかった。お陰でサイドミラーだけで上手にバックが出来る様になったけど。


 やろうやろうと思いながら部品揃えてから三年以上放置していたのは内緒です。他にもやりたいことが山済みで手を付けられなかったこともあるけど部品が手元にあるといつでもできると油断しちゃうんだよな。


 これもDIYあるあるだよね?


 え、そんなのお前だけだよって?


 ごめんなさい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る