第5話 あちこち酷い

 外したタンクにはガソリンが少し残っているようだ。チャポチャポしてる。どうせ中は錆だらけでこれが何気に一番時間がかかりそうだ。


 ポリタンクに漏斗をセットして燃料コックをRESにすると黒ずんだガソリンのようなものがチョロチョロと流れ出す。

 傾きを変えながら出なくなるまで振る。

 5リットル位出たが匂いが酷い。


 くっ、コイツ腐ってやがる。


 タンクはポタポタが中々止まらないのでそのままポリタンクの上に放置する事にした。

 転げ落ちないように上手く壁に立てかけて養生テープで固定する。


 お次は、これだな。キャブに繋がってる黒い箱。

 エアクリーナーボックスだろう。

 こいつを外さないとキャブが取れない。

 まずは蓋を開けてみる。

 黒いスポンジが入ってた。

 これは灯油洗浄の刑だな。


 ポリバケツに暖房器具用に買ってあった灯油を少々。

 シュポシュポ。

 今年は電動ポンプを買うかな。


 スポンジをザブンと突っ込みモミモミ。

 あーら、不思議。

 あっという間にボロボロのバラバラです。

 ダメだコリャ。

 時の流れはげに恐ろしき・・・。


 スポンジは諦めてボックス本体を外そう。両脇に固定ビスがあったのでネジネジと外す。

 キャブと繋がってる太いゴム部品を固定しているバンドを緩めるが外れない。

 マイナスドライバーで抉りながらなんとか外した。

 これ、ボックス側で外すのが正解だったりするのか?


 持ち上げるがフレームに引っ掛かって取れないぞ。

 前に押したり、後ろに引いたり。

 上手くいかーん。

 取り敢えず後側に押し込んどけばキャブ取れそうなんで放置だな。


 アクセルワイヤーとチョークワイヤーを外す。

 うーん、インシュレーターはエンジン側のマウントを外すのか?

 くっ、スペースなくて六角レンチがかけられない。

 仕方がないのでラチェットのビットを突っ込んでプライヤーでチマチマ回してみた。

 指が攣りそうだ。

 おっとアイドル調整のワイヤーも外さねば。


 ふぅ、漸くキャブ外れたよ。

 シングルだと油断した俺が悪いのか?

 このバイク、デザイン優先でメンテナンス性捨ててる気がするんですが。

 確実に二気筒のNSの方が簡単だな。

 てか4ストやっぱり面倒くさい。


 キャブのフロートチャンバーを開けてみる。

 動くならガスケットやOリングはみんな交換だろうからあまり気にしない。

 うん、予想通りだ。

 まっ茶色。ベトベト、ギトギト。

 フロート外してジェット類もすべて外す。

 こいつらはキャブクリーナー浸けの刑だな。


 ペッボトルを切って作った器の中でクリーナーを噴きつけて、液が底に溜まったらポチャンとダイブ。

 本体も穴という穴に噴きまくる。

 こいつらはこのまま一晩放置しよ。

 明日はパーツクリーナー攻めにしてやろう。


 タンクを外して引っ張りやすくなったプラグキャップをプラグから抜く。

 手持ち工具のプラグレンチを掛けようと思ったら狭くて入らないよ。

 仕方なく車載工具のレンチでプラグを外した。


 ン?このプラグ、角が二本あるぞ。

 特殊なのか?

 良くわからんが電極は真っ黒に煤けてるんで軽くワイヤーブラシで擦ってからジェットが沈んでる容器にポチャリ。

 お前もキャブクリーナーの風呂に浸かって汚れを落としなさい。


 エンジンオイルの給油口を開けてからドレンボルトを緩める。

 見事に真っ黒な墨汁みたいになったオイルが噴き出す。

 これ、フラッシングとかした方がいいのだろうか。


 ドレンとは反対側にあるオイルフィルターも外してみる。

 勿論、こちらもマックロクロスケ。

 五千キロ毎とか一年に一度とかのレベルじゃない色してます。オイル交換位はマメにやりましょうって。


 そろそろタンクに戻るか。


 ポリタンクの上から外したら、この後の洗いに備えて底の燃料フィルターを外す。

 あれ、棒だけなんですけど。

 普通、頭の部分にフィルター付いてるはずなのにありません。

 溶けたか?

 溶けたんだな。


 雑巾の上で残ってたガソリンを吸わせながらタンクキャップを外す。

 キャップの鍵は動きがかなり渋くて鍵が折れるかと思ったけど、色々噴きまくって時間を掛けたら何とか回りました。

 こいつも分解しないとダメだな。

 キャップが取れたら、物置小屋にあった自転車のチェーンロックを放り込んで只管ひたすらシェイクしてみる。

 チェーンにはちゃんとタコ紐結んでおいたよ。

 これが無いと取り出しに苦労しちゃうからね。

 これでデカイ錆は取れるはずだ。

 穴が開いたらその時考えましょう。



 三分も振ってたら腕がプルプルしてきたんで終了。

 チェーンを取り出したらホースを突っ込んで水洗いだ。

 燃料フィルターの穴をテープで塞いで、水で満タンにしてから排水してみる。

 デカい錆こぶがゴロゴロ出るよ。穴が開いてないのが奇跡だな。


 三回ほど繰り返して錆が減って来たので次に移る事にした。

 真打登場。酸が良く効く〇ンポール。

 錆にはコイツでしょう。

 底の穴をしっかりと塞いでからお湯で希釈した〇ンポールを入れていく。


 コイツ、給油口の返しが邪魔で上まで水が入らんな。

 台所から曲がるストロー持ってきて小細工で空気を抜きながら希釈液を入れていく。

 最悪、ひっくり返してもう一度だな。


 明日は連休最終日。今日はここまでにしといてやるぜ。







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