第4話 動くのか?

 翌日は朝から鵞鳥をバラシてみる事にした。


 でもその前にまずはクランキングできるか確認しないと。


 バッテリー繋いで動かなければ電装かセルモーター逝ってるかもしれないし、最悪シャフトで動かせないならピストンがシリンダー内で固着している可能性もある。


 そうなればエンジン降ろして全バラだ。そこまでやる気も無いし、やる技術も設備も無いので即終了です。


 まずは六角ボルト一本で固定されているフロントシートを外す。シートはプラスチックのベースに厚めのゴムを貼り付けただけの簡単なものだった。ショボ。


 バッテリーはガソリンタンクの下に斜めに潜り込むように設置されていた。


 念のため端子にテスターを当てると針はピクリとも動きません。20年も放置されればそうなるわな。


 気休めだがエンジンオイルも確認してみる。ゲージは濡れるから量は有るみたいだ。


 仕方がないので家に有ったジャンプスターターを繋ぐ。


 鍵を捻りメインスイッチを「ON」にすると緑のニュートラルランプとヘッドライトが点いた。電装は生きてるみたいだ。 


 祈りを込めて右ハンドルのセルボタンを押す。


 何も起こりません。隣の家のタロの声しか聞こえません。


「終わったな」と心の中で呟いたら、セルスイッチの上の赤いボタンがへこんでる事に気が付いた。


 キルスイッチが「OFF」になってました。


 スイッチボタンを押して「RUN」の状態にしてから再度挑戦。


「キュルキュルキュルシュボン」


 動いた! 動きましたよ。凄い弱々しい音だったけど初爆もあるみたい。


 良し、これで進められるとニヤケてしまった。


 早速タンクを外したいところだが、まずはサイドカバーを外す必要があるらしい。サイドカバーの一部がタンクに掛かっていて邪魔になるようだ。


 屈んでサイドカバーを見てみると、三角の黒のベースの中に銀のプレートが付いていた。ネット先生の情報によれば、これが名前の由来のグースネックコーナーを象っているらしい。

 よく分からん。


 固定は三か所。三角のそれぞれの角にネジがある。でも二つは六角レンチで一つはドライバー。ネジを無くしてあり物で応急処置でもしたのかとも思ったが、左右ともそうなっているので仕様のようだ。

 謎の拘りだ。


 ネジを外して手前に引っ張ったらはずれました。

 無事にサイドカバーが外せたので、いよいよタンクだ。


 銀のプレートを固定しているネジを回して外れないと悩んだのは、忘れたい恥ずかしい思い出です。

 マヌケだな。


 タンクを固定しているのはシート側のボルト二本だけ。

 素直に回っていざタンクを持ち上げたら引っ掛かる物が。燃料ホース外すの忘れてました。


 タンクを戻してホースを外そうとしたときに違和感。


 ん、燃料コックってタンクに付いてるんじゃないのか?


 分離式でした。タンクからホースで繋がったコックがフレームにボルト止めされてました。こっちの方が整備にはいいのかなとか思いながら、レバーがOFFになってる事を確認してコックのキャブ側のホースを外す。

 タンク側を外したらガソリンダダ洩れになるのはさすがに俺でも分かる。


 コックを固定している二本のボルトを外して、もう一度タンクをシート側に引きながら持ち上げると、長いホースと一緒に外れました。エア抜きか?


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る