第24話【月虹】
月に暈がかかっている。満月から少し欠けてきた月だが、まだまだ明るい。薄雲はプリズムの役割を果たし、月の周りに虹色の縁飾りを付けていた。同じ夜の下なら、月はどこから見ても似たような形だが、月虹は雲がないと見えない。至って当たり前のことだけれど、あの虹色の縁飾りをつけているのは本当は月ではなく、薄雲の方なのかも。見えているものが同じ世界とは限らない。ぼくの物思いを読み取ったかのように、夜半の月は厚い雲の向こうにすっと隠れてしまった。
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