第11話 一本の素うどん

ある日ある時ある場所で、相性診断とかしたあと晩ごはんを食べに行った時のお話。


「父 晩ごはん何にする?」

「選択肢あまり無いし 息子はおうどん好きやしうどん屋さんかな〜」

「じゃあうどん屋さんで決まりね」


まだ幼児であった息子はうどんが大好きでした。

取皿へうどんを移し、冷ましてからあーんして食べさせます。しかし、箸は扱えないものの素手で掴んで自分で食べようとする息子。

手は消毒済みだから、自分で食べたいならそうさせようとそのままにしてましたが……

「父 うどん おいし はい」

急に息子がうどんを一本手で持って、私の口へと運んできたのでした。

突然の事で驚きましたが、自分が美味しいと思う物を共有したかったようです。

冷えた素うどんでしたが、何よりも美味しく温もりを感じる一品でした。


今でもそうなのですが、美味しい物を独占するのではなくて、シェアして喜びや楽しみを共有するのが好きなようです。

味そのものより、その気持ちがとても嬉しいものです。

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