第8話 手のひらを太陽に
まだベビーカーに乗っていた頃の悲劇
「息子よチョコ食べるかい?」
買い物兼お散歩の際息子の大好物であるチョコが欲しいか聞いたところ
「いる」
「母 息子ちゃんにチョコあげて」
「一粒だけよ?」
そういって母は息子の手のひらにチョコを置いたのでした。
初夏の夕方、体温の高い幼児、たまにしか貰えないため手のひらで温存されるチョコ。
それは起こるべくして起こったのであった……
「うええええ」
「どうした息子?」
「チョコ無くなった……」
「えっ?」
賢明なる読者の皆様の想像どおりの出来事が発生したのです。落とした訳でもなく、食べたわけでもないのにチョコが消失した原因とは?
そう……体温と気温で見事に溶けたチョコであった物体が、息子の手のひらいっぱいに広がっていたのでした。
「母 もう一個だけええかな?」
「これは仕方ないわね いいわよ」
「息子よもう一個だけあげるから今度はお口に入れるんやで?」
「うん」
ベトベトになった手を拭き、新しいチョコを渡すのでした。
親という生き物は、常に不測の事態を予測し、コロナが発生する前からお手拭きをはじめとする各種アイテムを持ち歩く物なのです。
だが、大抵は未然に防ぐ事は出来ず事後対応になるんですけどね……
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