第4話 壊れて出ない音がある

子どもというのは、とても好奇心旺盛な生き物である。多くの事を経験し育っていくのである。

これはそんな体験の一つ。


「父〜 この穴何?」


息子はパソコンのイヤホンジャックが気になるらしく、興味深げに覗き込んでいる。


「息子よ それは音が出る穴だよ」


「父〜 本当にここから音がでるの?」


「音が出るのは嘘じゃないが、直接音がでてくるわけではないよ?」


「じゃあどうやってでてくるの?」


「スピーカーやヘッドフォンやイヤホンをその穴に挿して、音楽等をパソコンで再生したら聴けるよ」


「へー」


意味を理解したのかしてないのか、不思議そうに見つめていたが、飽きてしまったのか何処かへと去っていく息子。


ちょっと席を外し戻ってくると

「父〜 やっぱり聴けないよ?」

と息子の声。


「さっき言ったよね?その穴に挿さないと聴けないんだよ」


「うん 刺した」


「エッ? 息子は持ってないよね?」


「うん だからさっき爪楊枝刺したけど聴けない」


息子の言葉に驚愕するとともに急いでイヤホンジャックをチェック!

しっかりと奥まで刺さり、しかも折れて抜けなくなっている爪楊枝さんが発見されました。

慌ててチェックしましたが、クリティカルヒットだったらしく、イヤホンジャックさんからは二度と音は聴こえなくなったのでした。


子供というのは、穴を見つけたら何かを突っ込まないと落ち着かない生き物なのです。

皆様方もどうか様々な穴にご注意を。

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