3.~ウェンティ視点~
アルトがウルクの家に行ってから数日後。
ルーベド家。ウェンティは苛立っていた。
「こんなことも出来ないの⁉ ねぇ、いい加減にして頂戴!!」
「も、申し訳ございません!!」
お茶一つ頼んでもまともに出来ず、今度は紅茶を頼んでも不味い。
アルトであれば、いつでも最高級の紅茶を作ってくれた。
「お父様……勝手にアルトを追放したなんて……」
王都からやってきた執事は国王にも仕えたことのある有能な執事だった。しかし、ウェンティの我儘かつ理不尽な命令については来れなかった。
「ま、魔物を討伐することなど、無理でございます……」
「私はライオウルフの肉が食べたいの!! どうして命令が聞けないの⁉」
「家事のことでしたら可能ですが……それは冒険者ギルドに依頼されては……」
「私に指図するんじゃないわよ!!」
物を投げつけ、キーっと怒る。
こうなったウェンティを止めることはできない。
屋敷はアルトの居た頃と比べ、食事や清潔感が著しく低下していた。
まともに仕事の出来る人間はいない。
新しく入ったメイドや執事もウェンティの癇癪に耐え切れずやめていった。
毎日、毎日叫び声が響き渡る。
「気持ち悪い!! 触るんじゃないわよ!! まともに服も着せられない訳⁉」
「も、申し訳ございませんっ!!」
苛立ちは徐々に膨れ、矛先は違う方へと向けられていく。
「アルトはどこよ……どこなのよッ!!」
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