第47話
「フキさん、亡くなってしまったんだね。なんか、すごく寂しいな。お杉ちゃんの話を聞いて、フキさんのこと、すごく身近に感じてたんだ。」
「そうかい、ありがとね。よかったら、もう少し付き合っておくれよ。私も年だからね。今のうちに話しておきたいことがあってね。まあ、年寄りのお説教にならないように、気をつけるよ。」
私はククッと笑いながら、
「続きをお願いします。」
と言った。
「まあ、フキおばちゃんが急に亡くなっただろう。芙美ちゃんのショックもわかるんだけどね。」
「何かあったの?」
「お葬式が終って、みんなでちょっとした食事をしていた時に、芙美ちゃん、言ってしまったんだよ。」
「何を?」
「みんなのいるところで、『一人ぼっちになってしまった!』って泣きながら叫んでね。」
「それって……おじいちゃんとママも聞いていたの?」
「ああ、一瞬で空気が凍りついたよ。」
私はため息をついた。祖母とは付き合いが長いので、想像はつく。一見、物わかりがいいように見えても、祖母は結構、感情的になることが多かった。どこか不安定なところがあった。
「家族だからって、何を言ってもいいわけじゃないからね。喜之さんはともかく、阿紀ちゃんがいるじゃないか。まあ、あれは地雷を踏んだようなものだ。ただ、阿紀ちゃんは賢い娘だから黙っていたがね。」
「おばあちゃん、フキさんが、自分のお母さんが一番大事だったんだ。わかるよ。おばあちゃん、自分のお母さんのことを話している時、一番、優しい顔だったもん。」
きっと、この時、ママと祖母の間に亀裂が入ったんだ。そう確信した。
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