第45話
「まあ、フキおばちゃんにとっても静枝さんにとっても、長かっただろうね。本当に、色々あったけど、とにかく、庄助おじさんが亡くなって、一応、終わったね。」
「でも、何か色々と残っているような気がするけど。」
「フキおばちゃん、庄助おじさんの納骨が終わるとそれっきりお墓参りは行かなくてさ。」
「じゃあ、後は静枝さんが?」
「そうだよ。静枝さん、月命日には欠かさずお参りして、きれいなお花を供えて。打ち合わせをしたわけじゃないけどね。」
「フキさんと静枝さんって、別の出会い方をしてたら女社長同士でお友達になれたかもしれないね。庄助さんが亡くなってから、フキさんはどんな風に過ごしたの?」
「穏やかな毎日だったよ。阿紀ちゃん、あんたのママは一年浪人したけど、猛勉強して、一流大学に合格した。フキおばちゃん、すごく喜んでね、阿紀ちゃんの成人式の時はフキおばちゃんが見立てて振り袖をあつらえてね。」
「ねえ、やっぱりお金のいることは、フキさんがしてくれていたんだね。あのね、ママはそういう話は一切しなかったんだ。」
「本来は、阿紀ちゃんの両親がしなければいけないことなんだよ。阿紀ちゃんだって、そこがちょっとひっかかるんだろう。なんせ、父親の喜之さんは浪費癖があるし、芙美ちゃんはフキおばちゃんに頼りっきり。阿紀ちゃんからはどう見えたんだろうかね。まあ、いつか聞いて見たらいいさ。」
「まあ、そのうち。」
お杉ちゃんに話を聞くのはフキさんの人生を埋もれさせたくないからで、取り敢えず、ママのことはいいと思った。
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