第43話

あくまでも私の想像だが、きっとママは息が詰まったんだろう。そういうと、お杉ちゃんは同意してくれた。

「そうだね。私もそう思うよ。もちろん、親子喧嘩でちょっとした騒ぎになったよ。予備校の授業料のほかに、寮に入るお金がいるんだからさ。物入りじゃないか。その時は久しぶりに芙美ちゃんの愚痴を聞いたよ。隣同士っていっても難しくてね。芙美ちゃんと私は、フキおばちゃんと母さんのような関係にはなれなかった。誤解しないでね。けんかはしてないよ。ただ、芙美ちゃんは結婚して……そうだね、子育てするようになってから、誰にも弱みを見せたくないって感じで。阿紀ちゃんが何か病気をしたときは頼りにしてくれたけどね。」

「それで、お金の問題はどうなったの?」

「いつものことだけど、フキおばちゃんが助けたよ。思うところがあったんだと思うよ。本人のしたいようにさせてやれってさ。阿紀ちゃんは予備校の寮に入って、猛勉強を始めたよ。」

いつもながら、フキさんの決断力に脱帽する。

「その頃にはね、庄助おじさん、会社をたたんで色々と整理をし始めたよ。庄助おじさん、喜之さんのこと、人懐っこいところがあったから、息子のようにかわいがっていたけど、およそ経営者にはむかないってわかってたんだろう。詳しいことはわからないけど、会社の仕事とか、従業員は静枝さんの息子さん達の会社に引き継いでもらったみたいだよ。あちらの方が羽振りがよくなってさ、フキおばちゃんの気持ちを考えると迂闊には聞けないって母さんが言ってたよ。」

「庄助さんと静枝さんは、続いてたんだよね。」

「そうだよ。庄助さんが死ぬまで。色々と身辺整理が終って、これから静枝さんのところに行きっきりになるんじゃないかって、母さんと心配してたらさ、庄助さん、亡くなったんだよ。心筋梗塞で。夜中だったんだけど、フキおばちゃんの横で。急に胸をおさえて苦しがったから、フキおばちゃんはすぐに救急車をよんだけど、救急隊の人が来た時はもう亡くなっていたそうだよ。最後はね、庄助さん、フキおばちゃんに看取られたんだよ。」























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