第42話
「おばあちゃんの人生って、上手く言えないけど、フキさんの影響あり過ぎなんじゃないかな?」
「フキおばちゃんの理想の家族を芙美ちゃんが実現しなければならなかったんだろうね。私はね、喜之さんもかわいそうだったと思うよ。芙美ちゃんの一番大事な人は結婚してからもフキおばちゃんだったんだよ。二人の結びつきが強すぎて、間に入れなかったと思うよ。」
「でも、好きなだけお金使っていいとは思えないけど。」
「確かに。喜之さんは、芙美ちゃんに甘えるばっかりで、夫として、父親として、自覚にとぼしかったな。」
お杉ちゃんの話を聞いているうちに、これから先のおばあちゃんとママの関係が見えてくるような気がした。あまりいい予感はしない。
「前にも言ったけどね、くどいけどね、私は全部知っているわけじゃないよ。できるだけ主観を入れないようにはしているけど。」
「わかってる。だいたい想像はつくよ。ママとおばあちゃんはあんまり仲よくなかったんでしょ?」
お杉ちゃんはウーンと唸った。
「いいね。どちらが悪いとかじゃないんだよ。」
「わかってるって。」
「阿紀ちゃんは利発な子でね、芙美ちゃんは自慢にしてたよ。もちろんフキおばちゃんもかわいがってた。学校の成績もよかったし。喜之さんも阿紀ちゃんのことは自慢してた。もう少し、無駄遣いを辞めて、阿紀ちゃんの教育に喜之さん自身がお金をだせば言うことなかったのさ。歯車が狂ったのは、阿紀ちゃんが、大学受験に失敗して、浪人することになった時さ。阿紀ちゃんが家では勉強に集中できないから、予備校の寮に入りたいって言い出して。」
そんな話ははじめて聞いた。
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