第11話
よくよく考えてみると、明治時代といってもわずか百年前ではないか。なのに、こんなに私と曽祖母の境遇が違うなんて、正直、ショックだった。お杉ちゃんの話しを聞いていると、祖母がよく見ていた「女の一代記」のようなドラマは、できるだけきれいに、さわやかにえがいていると思う。
私は決心した。曽祖母の人生を少しでも掘りおこそう。お杉ちゃんは高齢だ。今は元気だけれど、近い将来、祖母のように逝ってしまうだろう。話しを聞くのは今しかない。
祖母は、曽祖母の人生の一部分しか語ってくれなかった。でも、まだ曽祖母のことを直接知っている人が生きている。ひょっとして、曽祖母が、フキさんが自分のことを知って欲しいと思っているのかもしれない。
お杉ちゃんにそう話すと、できるだけ昔のことを思い出してみるよと言ってくれた。お杉ちゃんも話したいのかもしれない。ふと、そう思った。
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