第9話

「すごい。身分をこえた大恋愛じゃん。庄助さんって、素敵な人だったんだね。フキさんもかっこいい。ハンサムウーマンだよ。」

私はお杉ちゃんの話しを聞いて興奮してしまった。パパとママ、祖母と祖父の結婚にはまるで夢というものがない。家を継ぐために、都合のいい人を選んだだけに見える。仏壇をきれいにして花を供えていても、祖母が祖父のことを話すことなんてなかった。ママだって、パパにすごく上から目線でものを言う。その二組の夫婦と比べたらとても素敵、なんてドラマチックなんだ。

「そんなにいいものじゃなかったんだよ。フキおばちゃんの結婚生活は。」

お杉ちゃんは語気を強めた。

「くそいじわるな姑がいたんだよ。それに庄助おじさん、外に女の人を囲っていたんだよ。」

「くそいじわるって、人の何倍もってことだよね。それに大恋愛なのに浮気?」

「浮気じゃない、本気さ。庄助おじさんは、フキおばちゃんも他の女の人達も好きなんだから。」

私は絶句した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る