第6話
人が一人亡くなるということは、後が大変なのだとママを見ていて思った。
とにかく、手続き、手続き、何かしらの手続きが必要で、一人娘のママは大変だ。何十年かさきの自分の姿なんだろうとも思った。
祖母が亡くなってからお杉ちゃんがよく来てくれた。学校から帰るころを見計らって、お菓子や夕御飯のおかずを持ってきてくれた。大丈夫、寂しくないか、と聞いてくれて、思わずべそをかくと、結構遅い時間まで一緒にいてくれた。
祖母が生きている時は私が学校から帰ると、お杉ちゃんは決して長居をしなかった。きちんと配慮をできる人なのだ。ママはお杉ちゃんが頻繁にやって来るのがあまり嬉しくないようだが、私は学校から帰って一人でいるよりずっとよかった。
考えてみれば、私は鍵を開けて家に入ったのは祖母が亡くなってからだ。それほど、祖母は私のそばにいてくれたのだとわかった。お杉ちゃんが夕御飯のおかずを持ってきてくれたときにそういうと、
「そうだね。芙美ちゃんはあんたとの時間が一番大事って言ってたよ。あんたを育てるのが自分の人生の最後の大仕事だって。」
と、お杉ちゃんはそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます