第6話

人が一人亡くなるということは、後が大変なのだとママを見ていて思った。

とにかく、手続き、手続き、何かしらの手続きが必要で、一人娘のママは大変だ。何十年かさきの自分の姿なんだろうとも思った。

祖母が亡くなってからお杉ちゃんがよく来てくれた。学校から帰るころを見計らって、お菓子や夕御飯のおかずを持ってきてくれた。大丈夫、寂しくないか、と聞いてくれて、思わずべそをかくと、結構遅い時間まで一緒にいてくれた。

祖母が生きている時は私が学校から帰ると、お杉ちゃんは決して長居をしなかった。きちんと配慮をできる人なのだ。ママはお杉ちゃんが頻繁にやって来るのがあまり嬉しくないようだが、私は学校から帰って一人でいるよりずっとよかった。

考えてみれば、私は鍵を開けて家に入ったのは祖母が亡くなってからだ。それほど、祖母は私のそばにいてくれたのだとわかった。お杉ちゃんが夕御飯のおかずを持ってきてくれたときにそういうと、

「そうだね。芙美ちゃんはあんたとの時間が一番大事って言ってたよ。あんたを育てるのが自分の人生の最後の大仕事だって。」

と、お杉ちゃんはそう言った。


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