第5話
祖母との別れは突然だった。中学三年になったばかりの四月の最初の土曜日の夜、久しぶりの家族全員そろった夕食の後、祖母が腹痛を訴えた。
あまりに苦しむので、救急車を呼び、祖母にママが付き添い、パパと私は後から病院に駆けつけた。入院して応急処置のあと、詳しい検査をと言われたけど、それを待たずに祖母は逝ってしまったのだ。
私はにわかに祖母の死を受け入れられず、ショックが強すぎたのか、涙もでなかった。祖母はいわゆるエンドノートを書き残していて、自分の葬儀は家族だけで質素に行うこと、ただし、となりに住んでいる杉野糸さん、祖母の一番の仲良しのおばあちゃんだけは呼んでほしいとのことだったそうだ。
家族とお杉ちゃん(祖母が杉野糸さんのことをそう呼んでいた)とで祖母のお葬式をしたのだが、何だか、悪い夢を見ているようだった。
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