第23話 甘い作戦最終ミッション3

「それではこちらで契約書を交わしましょう」


 通された部屋は、まるでホテルの一室。そこには二人の日本人形のような少女が立っていた。


「まずは鑑定料ーー」


「か、金をとるのか!?」


 驚く正広に町田は「当然です」と微笑む。


「売買の金額から言えば微々たるものです、ので、今回は無料、とさせていただきます」

「そ、そうか……」


 明らかにホッとする彼に、町田は次の契約書を取り出す。


「また、こちらは先にご連絡いたしました、オークションに出すにあたり保証金でございます」


 そちらは一つの商品に対して6万円だった。


「以前の掛け軸から算出いたしました。こちらはサービス、というわけにもいきませんので」

「そ、それは払う!」


 あらかじめメールでやり取りしていたので、彼はさっと5服分、20万を町田に差し出した。それを1人の着物を着た少女が受け取る。


「ありがとうございます。それでは商品をお預かりいたします」


 町田がそう言えば、もう一人の少女が掛け軸をすべて受け取った。


「さて、本日はリアルタイムでのネットオークション。もう間もなく始まりますので、こちらのモニターでお楽しみください。あぁ、もしも欲しいものがありましたらーー」

「ない! そんなものに興味ない!」


 大きく首を振る正広に、やっぱり町田はさわやかな笑顔で「そうですか」とだけ答えた。


「それでは、今しばらくお待ちください。そうそう、お部屋にあるものはご自由にお使いになって結構です」


 そう言うと、町田は二人の少女を連れて部屋を出ていった。

 一人になり、正広は大きく息を吐くと豪華なソファに座りなおした。


「これで売れたら……」


 そんな想像をするだけで、勝手に口角が上がってしまう。


「作品はまだまだあるんだ。闇ならあの雪樹せっきだって……」


 天井を見上げて、将来を思い浮かべては正広はにやにやと笑うのだった。


「しかし、いつから始まるんだ?」


 しばらくとは、どれくらいだろうか? 聞こうと思いスマホを探すが、ここに来る前に渡したこと思い出す。部屋には備え付けの電話があるが……。


「まあ、始まるだろう」


 そう思う部屋の中を見回せば、ブランデーやウイスキー、冷凍庫を見れば氷も用意されていた。テーブルの上にはフルーツにナッツまでも用意されている。


「少しくらいーー」


 飲んでも大丈夫だろう。


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