第19話 甘い作戦2日目

「正義兄ちゃんから連絡あったぞ」


 次の日、桐谷にそう言われて、全員放課後はPCルームに集まった。しかもそこは個室で、椅子も豪華ならモニターもでかい。更にはくつろげるように応接セットまであったりする。


「うちの学園って無駄にこういうとこ、金持ち思考だよな」

「IT産業はまだまだ伸びしろがあるから、ここで起業してミーティングなんかも出来るようにっていう学園長の考えらしいよ」


 桐谷の疑問に圭樹が答えた時には、モニターには工藤の姿が映っていた。


『……そこ、学校か? ったく最近の学生は』


 なんて愚痴は取りあえずスルーだ。


「お疲れ様です。で、連絡ありました?」

『俺は公務員なの、仕事中なの、疲れてるに決まってるだろう?』


 確かに、どうして日本人は『お疲れ様』という挨拶をするのか。仕事をしていれば疲れているし、それをわざわざ確認されるのもおかしな話だ。


「それではお疲れのところすみません。で、反応はどうでした?」

『ふん、当然食いつくに決まってる』


 そう言いながらパソコンの画面を見せた。


『言われた通り、金は外国経由で外貨で振り込んだ。確認してた時の奴の顔が見れないのが残念だな』


 因みに、振り込んだ会社名は架空のもので、その過程も足がつかないルートなのだと工藤は説明した。


『あとは数日後、こいつをHPにアップして、高額で競り落としたように見せる。そうすりゃーー』

「彼はまた、うちにアクセスしてくる」


 圭樹の言葉に、ミニターの向こうで工藤はにやりと笑った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る