第4話
電車の遅延は45分程で解消された。
遅刻だ!
いやアポとった時間になんとか間に合うか?
俺は会社に到着し上野美咲と共に慌ててS社に向かった。
急いだかいあってS社の受付にはなんとか2分前に到着し、ホッと胸をなでおろす。
「今日、プレゼンさせていただく予定の株式会社ジーマーの青木と上野です。佐々木専務はいらっしゃいますか?」
急いで来たので少し息があがってるのだろうか?
なんだかドキドキしてきた。
「佐々木は会議室で待っていますのでそちらにご案内いたします。」
俺たちは会議室に案内され定番の挨拶と名刺交換を済ませるとプレゼンの始まりとなった。
「本日はプレゼンの機会をつくっていただきありがとうございます。御社のRPGゲームの決済にわが社のジーマーを加えていただきたく存じます。ジーマーはわが社が開発したスマホゲーム決済専用の仮想通貨です。ゲームセンターのメタルの様な使い勝手を目指して開発してまいりました。御社には是非ジーマーの販売所とマイニングの参加をお願いしたいと思います。」
「仮想通貨というとビットコインみたいに価格が変動するんじゃないの?」
「価格の変動は発行枚数と流通量の調整で一定額に固定できます。」
「それはあくまでも計算上ですよね。想定外の事なんてよく起こる事だと思いますが・・・?」
「普通の仮想通貨は売り買いのバランスで取引価格が決まります。ですが、ジーマーはゲームセンターのメタルと同じで売りだけで買いはありません。よって取引価格の決定は容易であると思います。」
「ところで今朝のニュースで”イカゲーム仮想通貨詐欺”というのを報道していたのをご存じでしょうか?」
「”イカゲーム仮想通貨詐欺”ですか?いえ知りませんでした。」
「そうですか・・・ 先月販売開始された仮想通貨なんですが、販売開始後二週間で二千倍位に価格が高騰したところで創設者が売り浴びせ、わずか5分で価値がほぼ0になってしまった様です。創設者は約2億円を持って逃げたそうです。」
「ジーマーはあくまでも売りだけで、価格にしても高騰する事など・・・」
「青木さんこの見積書ですが・・・ 消費税が10%でなく8%で計算されていますよ。仮想通貨という金融を扱う者がこんな単純なミスでもゆるされると?」
「えっ? 申し訳ありません。すぐに修正しますので・・・」
「面白い企画ではありますが今は時期が悪いと思います。また、時期を改めてお越しください。」
俺たちのプレゼンは最悪な結果となってしまた。
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