第4話
歯ブラシ.
新しいのある.
月ちゃんと一緒に磨く.
何だか楽しいなぁ.
月ちゃんはコップは使わなくていいって,
手ですくって口をゆすいでた.
上の方に押し込んでた布団を
引っ張り出そうと格闘していると,
気が付いた月ちゃんが,
ひょいっと取ってくれた.
私だったら1つずつ行う所を,
月ちゃんは敷布団と掛布団を
まとめて下ろす.
力持ちだわね.
布団を2組敷くと,
お部屋が一杯になった.
長く垂らした電気のコードを引っ張ると,
電気が消える.
「おやすみなさい.」
て言うと,
「おやすみ.」
って返ってきて,
一緒に過ごす人がいるっていいなって思った.
カチャって音がした気がした.
今何時かな.
ふと気が付くと,
隣の布団には月ちゃんの姿が無く,
玄関に走ると,
靴も無かった.
急いで,
玄関の鞄を持って,
鍵を開けて,
外に駆け出すと,
見覚えのある服装の人が目に入った.
あれは月ちゃんだ.
取り敢えず,
鍵をかけて追いかけよう.
あら?
鍵かかってたよね?
鍵持っていかれたのかな…
鞄に…
鍵が…
入ってた.
普通に鍵がかかる.
早くしないと,
見失う.
どこに行くんだろうと追いかけると,
月ちゃんは電気がパッとついたり,
消えたりするように,
姿を消しながら…
瞬間移動をした.
5メートル程,間隔をあけながら進んでいく.
全速力で走って追いかける.
夜だし,声をかける事も出来ないまま,
息だけ切らして追いかける.
そのまま
出会った公園まで突っ走った.
公園にいた人影が,
月ちゃんに声をかける.
「あー来た来た.」
黒い髪の月ちゃんとは対照的な,
公園の灯りでも判るほどの
赤い髪の青年だった.
月ちゃんよりも背が高く見える.
あっ見つかっちゃまずいのかな.
声をかけるタイミングを失って,
木の陰に隠れる事になってしまった…
「新月になると,女が来るでしょ.
その前にお掃除しとくんだよね?」
赤い髪の青年が話しているみたい.
「もう終わったよ.」
月ちゃんの声がした.
「何で1人で?
つか,その顔ひでぇ.
もう,いいんでねぇの.
地球の穢れは置いておけばいいよ.
そんなになってまで,
お前が頑張らなくても…」
…地球の穢れ?
「顔は計画的.
上手くいった.」
「もう上がり込んだの?
その服もそうなのか.」
「だけど,ずっと女だと思われてる.」
「ぶっ.
そうなのかー.
もう,合わねぇんだよ.
さっさと帰れ.」
「まだ,帰らない.
せっかく,きっかけ作ったから.」
「あぁ?
だから,今.
姿見せながら,人間の言語で話してる訳か.
お前…
ふざけるなよ.
知っててやってんのか.
最低だな.
おい.
人間の女.
出てこい.」
人間の女って…
私ですか…?
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