第2話

「その…

一回り私は,あなたより年上だけれど…

やっぱり,こういう話は気を遣うし…

正直,緊張する…

いえ…

今までに話した事ないわ…

あのね…」


チラッと見ると,

立ち尽くしたまま,

きょとんとしている顔に何だか

非常に私の方が場違いな人なように感じた.


「…

乱暴されたんだったら…

現状のまま警察に行く必要があると思うわ.」


言った後,

胸がドキドキして自分が息苦しくなった.

勢いよく息を吐きながら,

目の前の子は,

考えているような表情だった.


「言っても信じてもらえない…」



「…知らない人だったの?

…お父さん?」


何だか言っていて,

自分の言葉が自分自身

分からないような気がして,

出した言葉を反芻しながら,

その度に,めまいがした.

「とりあえず,

病院に行きましょ.

大丈夫.

何も心配は要らないわ.

私が一緒に行くから.

大丈夫.

うん.

大丈夫.


3日以内ならアフターピルが効くはずだから.

早ければ早い方がいいわ.

大丈夫よ.」


大丈夫は誰に向けた言葉なのか.

あの子に向けて.

私に向けて.

もう言い聞かせるしかない大丈夫が,

ブツブツ無限に出てきた.




「あぁ…

そういう事.

どっちかといったら乱闘.

喧嘩?


しかも,今は産めないよ.」


!?


目をつぶりながら,

安堵のため息が派手に出て,

一気に老け込むかと思った.


「そう…

それならいいわ.


いえ…

良くないかも?

あなた結構酷いから見た目.

生身の人間が危ないわよ.

命がいくらあっても足りないわ…」


綺麗な顔は,

目もとが腫れて,

口元は血の跡が痛々しかった.

「そう見えたんだ…

へへ…」

何だか,笑ってた…


よく分からない…

何だか事情があって,

戻る所がない子なのかしら.


「少し私より背が高いけど,

細身だし…

洗濯済みだから,これ着て.

バスタオルこれ.

髪短いから,タオル足りそうだけど…

小さいの欲しかったら,

また出た時に声掛けて.


あ~.

下着は…

申し訳ないけど,

自身ので.

明日,揃える事にしましょ.」


「ありがとう.」

受け取ってくれて,

「ここ?」

ってシャワーを聞くので,

「そこ.分かんない事あったら中から聞いて.」

って答えた.

ボディタオル兼用は流石に…

新しいの…

どこだっけ.

ここ…ここやん.

「これ,ボディタオル.

新しいの使って.」


あっ.

「食べられないものは?」

扉の外で聞くと,

「ない.」

って返って来た.


う~ん.

ご飯,いつもは1合だけど,

3合早炊きセットして,

麻婆豆腐とキャベツのシンプルサラダにしよう.

まだ出来終わってないのに,

出てきた.

早くない…?

ちゃんと入ったの?


「困った事…

無かった?」


「無かった.

さっぱりした.」


確かに,綺麗になってる.

それにしても早くない?












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