09話. ワンナイト 後編
「カチャ!」
俺はカイメルさんから頂いた鍵でカイメルさんの家のドアを開けた。
「お邪魔します」
俺たち三人はカイメルさんの家に入る前に言った。そして、エリナ、ソフィア、俺の順で中に入って行った。中に入ると、玄関は靴などが綺麗に整っていた。そして一階のリビングの方に行くと、ソファが2台L字型に置かれていた。奥には暖炉があった。そして、ダイニングには四人席のイス四脚とダイニングテーブルが一台あった。キッチンは前の世界とは違って石などで出来ていた。また、木と石でできたお風呂もあった。
「カイメルさんの家って、色々と綺麗だね!?」
「・・・」
俺はソフィアに言ったつもりだったが、俺の周りには誰も居なかった。俺が周りを見回すと、二階からソフィアとエリナの声が聞こえてきた。
「ソフィア姉、このベッド大きいね!?」
「だね。エリナちゃんはどっちのベッドで寝る?」
俺が階段を登って二階に上がり、寝室に入ると、ソフィアとエリナは今日の寝方について話していた。
「私、一人でこっちの大きなベッドに寝たい!」
「良いよ」
「やったー!」
エリナは手前と奥にあったクイーンサイズのベッドの内、奥のベッドを指しながらソフィアにお願いすると、ソフィアは微笑みながら了解した。
こうなると、ベッドはあと一台しかない。だから、もう一つはソフィアに使わせてあげよう。
俺はそう決断し、ソフィアに伝えた。
「ソフィア、もう一つのベッドはソフィアが使って良いよ。俺はリビングにあるソファに寝るからさ」
「それはなんか、カズマくんに悪いよ。私は問題無いから、カズマくんが良ければ一緒にこのベッドで寝よ!?」
ソフィアは俺の提案を受け入れず、ソフィアの方から提案してきた。この時のソフィアは俺を誘ってるような目をしていた。流石にこのソフィアの瞳を見てしまうと断れなかったので、俺はソフィアの提案を受け入れた。
「わ、分かったよ。ソフィアが良いなら良いよ」
俺は少し耳たぶの部分が赤くなっていた。すると、ソフィアは抑えた声で返事をした。
「う、うん」
横でずっと見ていたエリナはソフィアにある質問を投げかけた。
「もしかして、ソフィア姉って、カズマのことを...」
するとソフィアは最後までその質問を聞かず、何かを察したのか、動揺しながら答えていた。
「ち、違うよ、エリナちゃん。そう言えば、カズマくんとエリナちゃん、今お腹空いてない?まだ晩飯食べて無いし、私が何か作ろうか??」
俺はこの場の空気を読み、ソフィアの質問に答えてあげた。
「そ、そうしよう。俺もお腹空いたし、晩飯にしよう」
「わ、分かった。じゃあ、今から用意するね。二人で何かで遊んでて」
「分かった」
ソフィアは俺とエリナにそう言い、一階のキッチンへと降りて行った。俺はエリナの方を振り向き、エリナに話かけようとした瞬間、エリナは真剣な顔で何か考え事をしていた。
きっと、さっきのエリナの質問に対するソフィアの答えについてだろう。それにしても、この少女賢いな。この少女がまさか、あんな質問を投げかけるとは。
俺もエリナが何を聞こうとしていたかは察しが付いていた。とりあえず、俺はエリナに話しかけてみることにした。
「エ、エリナ?」
俺がエリナの名を呼ぶと、エリナは俺に気付いた。
「何!?」
「ソフィアが晩飯を作ってくれるまで、何して待ってる?」
「んー。じゃあ、
「了解。エリナから始めて良いよ」
「じゃあ、《魔法》!」
「《剣術》」
俺とエリナは20分間勝負が全くつかず、ずっと
「できたよ!カズマくん、エリナちゃん、食べよ!?」
「はーい!!」
俺とエリナは大きな声で返事をし、一階のダイニングへと降りて行った。
ダイニングに着くと、ダイニングテーブルには料理が幾つか並べてあった。クリームシチューやサラダ、チーズの料理があった。どれも、美味しそうだ。ソフィアとエリナは隣同士に座り、俺は反対側に座った。そして、三人でソフィアの料理を美味しく頂いた。
「ソフィア、このクリームシチュー美味しいね」
「私も!私もソフィア姉のクリームシチュー、好き!」
「そう!?ありがとう」
俺とエリナがソフィアの料理を褒めると、ソフィアは喜びをまぶたに浮かべた。それと、エリナはいつもの性格に戻っていた。
俺たちは晩飯を済まし、お風呂も済ました。そして、俺たちはやることも特に無かったから今日は早く寝て、朝早く起きることにした。
俺たちは二階の寝室へと向かった。そしてソフィアがエリナを寝かしつけたあと、俺とソフィアは一緒のベッドに入った。最初は互いに恥ずかしく、何も話せなかったが、次第に話せるようになってきた。
「ソフィア、寒く無いか?」
「うん。大丈夫だよ、カズマくん」
「そうか。そう言えば、エリナって本当は誰なんだろうね!?」
「まあ、そうだね。誰だろ??明日、リリシア先生が教えてくれると思うよ」
「そうだね。まあ、明日には全部分かるしね!?」
「まあね」
「じゃあ、また明日。おやすみ」
俺はソフィアの方に背を向け、目を瞑った。すると、ソフィアは俺の背後から抱きついてきた。
「ソ、ソフィア??」
俺は後ろを振り向こうとした瞬間、ソフィアは俺に言った。
「カズマくん、動かないで。暫くこのままが良いの」
「う、うん」
俺はとりあえず、頷いた。
ソフィアに抱きつかれたままの状況は5分ぐらい続いた。5分経つと、ソフィアは俺に「おやすみ」と言って、俺の頬にソフィアの柔らかいピンク色の唇を付け、ソフィアは元の場所に戻った。そして、眠りについた。俺は一瞬後ろを振り向いたが、直ぐ前を向き、俺も深い眠りについた。
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