07話. 目覚め

 ん、ん!?



 俺が目をそっと覚ますと、俺の脳内に最初に入ってきた景色は青い空だった。そして、なんか後頭部が何か柔らかいものに当たってる。それに、俺の周りからは良い匂いもする。俺は、まだ意識がハッキリしていなかった。だから俺は、今自分の周りに何があるかを確かめるために両手をちょこちょこ動かしていたら何か柔らかいものに当たった。

 ん?なんだ、この柔らかくて触り心地が良いものは?んー。



 「きゃあ!!カズマくんのえっち!!」



 「パチン!!」



 「いたぁ!」



 誰か分からないが、俺は一人の女の子に頬をピンタされた。



 「カズマって意外とえっちなんだ!?ソフィア姉の胸を触るなんて」

 

 すると、俺の左隣からもう一人の女の子の声が聞こえて来た。

 ご、誤解だ。ん?待てよ。ソフィア?胸?

 「ソフィア」(と「胸」)という言葉とさっきの誰かさんからのピンタのお陰で、俺は今全てを思い出した。そして、ぼんやりしていた意識が完全に戻った。

 そうだ。俺はあの時、確かヴァルディフォードに闇黒剣デーモンソードで心臓を突き抜かれたはずだ。

 俺は死ぬ間際、いや今だと意識を失う前か、のことを思い出した。そして、俺は今自分の体がどうなってるか気になったので、自分の胸元に手を当てた。すると、心臓を突き抜かれたあとは無く、血も流れてなかった。

 ん?なんで?もしかして、ここは天国か?それともさっきまでのは全部夢だったのか?

 俺が戸惑ってると、俺から離れたところに血が付いてる一本の精霊剣ソウルソードが俺の視界に入ってきた。


 「あ、あれは、精霊剣ソウルソード?しかも、茎も刃も形も全てソフィアが作ってくれた精霊剣ソウルソードと同じだ。と、言うことは...」

 「そう、これは現実よ。夢じゃない。あの剣は私が作った精霊剣ソウルソードよ。カズマくんがみんなのために戦ってくれた時に使った剣」


 すると、俺の脳内にソフィアの声が聞こえてきた。俺が少し首を曲げて後ろを見ると、そこにはソフィアがいた。そして、俺の後頭部はソフィアの膝下に当たっていた。

 

 「ソ、ん?ひ、膝枕?すまん。今退く」


 俺はソフィアの名前を呼ぼうとしたが、俺の後頭部が当たっていた柔らかいものがソフィアの膝下だと知って、慌てて退こうとした。しかし、ソフィアはそれを阻止した。


 「う、動かないで、カズマくん。体に触るから。安静にしてて」

 「で、でも、なんか悪いよ」

 「い、良いのよ。(そ、それに私はこのままが良いんだし)」

 「そ、そっか。それと、今最後になんか言った?」

 「い、言ってないよ。何も」

 「そ、そう!?」


 ソフィアは俺の頭を撫でながら、何かを隠して恥ずかしそうに言った。流石に、俺も顔から火が出そうだった。まさか、頭を撫でられるとまでは思っても無かったからだ。


 「あー、カズマ、照れてる」

 「う、うるせえな。それに、君だれ?」


 その少女は10歳ぐらいに見えた。少女は俺を揶揄っていた。俺は顔を赤くしたまま少女に言い返して問いた。


 「私はエリナ。ソフィア姉の妹だ」

 「ソフィアって、妹居たっけ?」

 「居ないよ。私は一人っ子」


 俺はソフィアに問いただしてみた。


 「いや、私はソフィアの妹だ!」


 しかし、俺とソフィアの会話を聞いていたエリナは、自分はソフィアの妹だと言い張っている。


 「そ、そうか。宜しくな、エリナ」


 俺はとりあえず、自称ソフィアの妹と言うエリナを受け入れることにした。



 それと、俺は一つソフィアに確認しないといけないことがあった。俺は聞くかどうか迷ったが、聞くことにした。


 「あ、あの。ソフィア、一つ質問良い?」

 「良いよ。何?」


 俺は一旦落ち着いて、深呼吸を一回してからソフィアに問いた。


 「あの、これで機嫌を悪くしないで欲しいんだけど、ソフィアってなんで生きてるの?」

 「あー。まだ言って無かったね!?」

 「ん?」

 「私、自分でも分からないの。なんで今生きているのか」

 「そうなの?」

 「うん。それで、カズマくんが眠ってる間にリリシア先生が私のところに来て、明日リリシア先生の家に来てって言ってた。何故、私とカズマくんが生きてるのか。(そして、エリナとは誰か)を教えてくれるらしいから」

 「そうか。分かった」

 

 ソフィアはエリナのことについてだけは、エリナに聞こえないように俺の耳元で小声で言った。



 それにしても、なんでだろう?

 俺は少し今の時点で、何故自分が生きているのか気になっていた。それと、そろそろここから移動したかった。それは、今俺たちは村の中心地の中心にいるからだ。しかも、俺はソフィアに膝枕をされたままだ。流石に、俺の恥ずかしさも限界になってきた。だから、俺は手足が動くか確認してソフィアに一つ提案した。


 「俺、もう動けるみたい。そろそろ移動しようか?」

 「そうだね」

 「ところで、今夜はどこで寝るの?」

 「なんか、カイメルさんが寝泊まりできる場所を用意してくれてるらしいから、とりあえずローランド教会に来てだって」

 「そうか。じゃあ、行こうか!?」

 「うん。エリナちゃん、行くよ」

 「はーい」


 俺はソフィアの膝下からサッと起き上がった。そして、ソフィアも立ち上がりエリナのことを呼ぶと、エリナは返事をし、すんなりとソフィアの下に来た。そして、俺たち三人は一緒にローランド教会に向かった。



 

 「そう言えば、エリナちゃんって何歳なの?」

 

 俺はエリナに歳を聞いた。


 「ちゃん付けするな!それに、レディーに歳を聞くなんて、失礼だぞ!」

 「わ、分かった。ごめんってば」


 そもそもどう見てもレディーではなく、一人の少女でしょ?

 俺は一人で呟いてた。すると、ソフィアが俺に一つ注告してきた。


 「もう、カズマくん、エリナちゃんと喧嘩しないで」

 「え?俺?」


 何故か、俺の責任になってる。だが、今回は俺は水に流すことにした。しかし、俺に対してだけエリナは態度が違った。

 全く困ったもんだ。この先、一緒にやってけるのであろうか。




 俺たちがローランド教会に着くと、陽がもう既に落ちていた。それと、ローランド教会の入口のところにカイメルさんが居た。

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