第10話 修行

 教室?

 学校だよねこれ?

 黒板と、机と椅子が揃う部屋に移動して来た。

 バーリスの指示の下、2つの部屋に分かれて。

 授業が、始まった。


 第2王女が俺のいる部屋の担当のようだ。


 「先程名乗りましたが、デミラーと言います。これから、一般的なこの世界の事をお話しますが。こちらにいる侍女の、ミースが説明し。足りない部分を、私が補う形となります」


 「失礼します。私は、ミースと言います。では、机の上にある本を開いて下さい」


 もろ、学校でしょ!

 過去の、召喚者の影響なのか?

 この世界も、同じように発展しただけなのか?

 まぁ、そのへんもしっかりと聞いていこう。


 ちなみに師匠は、俺の隣ですでに寝ている。


 「では、この国の成り立ちについてから…」


 眠たくなる話から、始まった。

 やれ、国王様は凄いだの偉いだの。

 他国より優秀と、嘘をついたりしている辺り。

 教えを全て、信用するのは危険と感じ。

 後で、師匠に確認する事にした。



 3日たった。

 完結に言うと、無駄な時間を過ごした。

 こんな事なら、辞退すれば良かったと本気で思う。

 ただ、何もしてなかった訳ではなく。

 夜は、筋トレ等。

 室内で出来る、師匠の指導の元。

 スパルタ教育を受けていた。

 知識よりも、今は体力をつける事を優先するんだそうだ。


 脳筋に見える師匠だが、チョイチョイこの国の事や他国の事。

 魔物の事や、魔法の事など。

 筋トレ中に、教えてくれる。


 あまり頭に入らないが、早朝ユウトの部屋で聞いた話を話す事で理解できてる気がする。


 4日目の朝、皆が集まるが。

 男性陣は、半数以上この世界の女性達とイチャイチャしている。

 アイツラは、もうダメだと。

 遠目に見ながら、できるだけ早く他国に行こうと思っていると。


 「沈まれ!本日より、十人の指導者からこの国の事や戦闘の仕方等。この世界の事を、学んで貰う。自分達の為にも、努力するように!」


 ソラーノが、そう言うと。

 皆の前に、十人が前に出る。

 ヤンバー師匠と、アンバーさんは含まれないみたいだ。


 ガマルは、選ばれたらしく。

 十人バラバラに教えるようで、各教室?にバラけるように言っているが。


 俺と、トオルはついて行かず。

 トオルは、アンバーさんの指示に従うようだ。


 「よし!アイツラの事はほっておいて。俺達は、外に行くぞ!」


 「外?この城から出れるのですか?」


 「それは、駄目だしされた。だが、広いスペースが無いと色々教えられないからな!城壁内であれば、許可を貰った」


 「ヤンバーさん、私が何とか許可を貰ったのです!貴方の手柄みたいに言うのはおかしくないですか?」


 後ろを振り向くと、サミさんがこちらに歩いて来た。


 「ち、別に良いだろう!そんな事より行くぞ!」


 俺は、手を捕まれ引きずられるように外に。

 後ろから、サミさんが付いてきてくれていた。


 「さて、まずこの見える範囲のスペースを走れ!筋トレばかりだったからな!基礎を固める為にも、まずは走れ!」


 「はい!」


 俺は、久しぶりに走れる嬉しさからスキップでもしそうな感じに動き出す。


 何やら、サミさんとヤンバーさんで揉めていたが気にしない。


 一周1キロ位の庭?を3周したくらいでへばりだす。

 体力無いなぁと、何処か他人事のように思いながら5周でアンバーさんの前で止まると


 「どうした?まだ、辞めていいとは言ってないぞ!」


 「何周するのですか?」


 息切れしながら聞くと


 「俺が、良いと言うまでだ!」


 「わかりました」


 走るのは、嫌いではない。

 でも、何周するのかわからないと精神的に目標がない状況で走るのはかなりきつい。

 ジョギングペースに、変えると師匠がいつの間にか後ろにいて叩かれる。


 「真面目にやれ!倒れたらあいつが治すから心配ない!」


 あいつとはサミさんの事なのだろうけど、姿は見えない。

 やけくそ気味に、ひたすら走る。


 何周しただろうか?

 10周かも知れないし、もっと走ったかも知れないが。

 足が、言う事を聞かずに倒れた。


 すると、

 「これを飲みなさい」


 そう言って、サミさんが瓶に入った飲み物を手渡してくれる。


 少し草の匂いがした、緑色の飲み物を飲むと。

 スーと、足の痛みが消えた。

 息切れは、治らなかったが。

 どうやら、異世界定番のポーションだったようだ。


 「やはり、レベル1ではこの位でしょうか?」


 「本当は、ダンジョンにでも放り込めば簡単なんだが連れ出せないしな」


 「無い物ねだりしても、致し方ありません。それより、次は私のばんでいいですね」


 「ふん、勝手にしろ!」


 俺の知らない所で、二人の間に取り決めがなされていたようだ。


 「さて、今度はスキルの訓練をしましょう。と言っても、貴方のスキルがどうしたら使えるかわかりませんので。色々試す?が正しいでしょうか?」


 「お願いします」


 それからは、他の人達がどのようにしてスキルを使用するのか教えてもらった。


 魔法系は、やはり呪文のような物があるようだが。

 無詠唱で使える人もいるらしい。


 生産系は、まず1から材料を自分で揃え。

 作って見ると、次からは簡単に作れるようになる。


 戦闘系は、やはり実践が成長するのにいいらしく。

 近々、勇者や暗黒騎士達を連れてダンジョンに行く案が出ているらしい。


 解除スキルが、未だに使えず。

 まずいと、思い始めた。


 残り俺に残された時間は3日。

 色々試したのに、スキルが使えず。

 剣や、魔法も学んでみたが才能は無いらしい。


 そんな時。

 ヤンバー師匠が、魔物討伐の為。

 5日ほど出掛けるらしい。


 サミさんに任せるのは、嫌そうだったが。

 この国からの命令の為、断れないんだとか。


 他の皆は、和気あいあいと授業を受け楽しそうだ。

 ユウトの話だと、何人も洗脳され始め。

 全員を、この国から助け出すのは無理だと思っているらしい。


 自己責任だし、そこまで面倒見る必要は無いよと。

 俺は、そう伝えた。


 残り1日となったお昼頃、サミさんと一緒に外で食事をしている時に。


 「どうしたら、お姉さんを救えるでしょうか?もう1日しかありません」


 「そうですね。このままだと、私の判断は間違いだった事になります。明日もう1度姉に合わせますのでその時にまた、考えましょう」


 ある意味サミさんも、師匠と呼べる位仲良くなったせいか。

 期限が過ぎても、何とかなりだそうだと。

 少し、気を緩めていた。


 だが、そう甘いものでも無かったようだ。

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